Fail Safe

　ここ半年の習慣として、毎日の始まりは寝起きのスムージーで始まりを告げる。

　その時々の嗜好によりメンバーは頻繁に入れ替わるが、レギュラーとなるのはバナナ、ヨーグルト、はちみつ、酢…このの4本柱は欠かせない。

　そこにその日のお好みで、きなこ、アーモンド、白ごま、青菜などが加わることもある、夏ならレモン、冬なら酒粕または生姜とシナモンパウダーなんかも好みである。 

　かれこれ成人してからというもの長い間、すっかり朝食をとる習慣をなくしていた私だが、昨年から朝ほんの10分だけ早起きをすることにして、スムージータイムを設けてみるようになった。

　一昨年くらいに職場のビンゴ大会で景品として頂いたブレンダーが未使用のままになっていることをふと思い出したのである。するとどうだろう、手間がかからないばかりかとても美味しい。その味も毎日同じでないので飽きがこない。

　何より脳の立ち上がりがよく午前中のパフォーマンスは格段に違う（気がする）。

　はちみつやバナナにはもちろん糖質も含まれるが、それは脂肪になりやすい類のものではない。むしろ昼食〜夕食の量もセーブされる気がして太りにくくなっている感すらある。

　ビタミン、ミネラルその他栄養も豊富で、腸内環境にも好影響をひしひしと実感している。何というか1日の始まりのリズムのフィルインがピタッと合っている感じがするのである。

　何事にも飽きっぽい私だが、もうしばらくは続けられそうな気がしている。

　昨年アルバム『Goes West』（2019年発）でWilliam Tylerを初めて知り、以来作品を集めたものをよく聴いている。初期はTompkins square、ここ最近作は何とMerge Recordsからのリリースで、いずれも思わず唸ってしまう傑作ぞろいである。

・William Tyler - Fail Safe

　アコースティックギターのインスト曲が主体でJohn FaheyやLeo KottkeはじめTAKOMAのギタリストを彷彿させる3フィンガースタイルだが、何より79年生まれの氏のギターは自分と同年代特有のオルタナティブなセンスを感じる。

　ナッシュビル出身らしく（最近はカリフォルニア在住だそう）、これまた自分も大好きなLambchopに19才（！）で抜擢、最晩年のSilver Jewsにも参加…と納得の生え抜き〜サラブレッド感である。

　その変則チューニングから繰り出される滑らかなギターワークには、親近感など湧くべくもないものの、何より彼の音楽性含めてその飾り気のなさこそが、とても素直でビビッドに響く。

　ここにもまた太っといアメリカーナが現在進行形で確かに息づいていることを思い知っては、世間の流行を尻目にオールド・ビンテージを愛してそれを糧に、現代に生きる自分のセンスで独自表現を追究していくことの意義について、改めて大きく頷いてしまう。

　これまた独自の切り口で寡黙な傑作ばかりを連発している女流監督、Kelly Reichardtの2020年最新作『First Cow』のサントラもかのW. Tylerが全編手がけておることも最近知っては勝手に嬉しくなってしまった。昨年末にみなみ会館で鑑賞した「Old Joy」（2006年）が期待を上回る素晴らしさであっただけに（Will Oldham客演、Yo La Tengoがサントラを手がける作品である）。

　ここ日本での上映はまだこれからだが、早くもLPをゆったり愛聴しつつ映画にも期待を膨らませている。

・First Cow | Official Trailer HD | A24

 　J. Faheyの劣化コピーを延々と聴かされているような作風や、D.I.Y.的成功サイクルに魅せられてハエのように増殖し続ける創造性皆無のバンドなどは、もはや型にはまったファッションでしかなく退屈そのもので、そういった風潮にもすっかり辟易して早数年…久しぶりにご贔屓の現行の音楽に出逢うと生活にもハリが出るというものである。

　↓こちらのソロライブもロケーション含めてナイスなアーカイブ。

・William Tyler - Full Concert | Twenty Summers Season 6

　全く余計なお世話だが、ギターを爪弾くために右指の爪をかなり伸ばしており危なっかしい。 

　自分も指弾きなのでちょっとだけ伸ばしているからわかるのだが、ふとした拍子に引っかけたりしてすぐに割ってしまう。これだけ長いとそのケアも何かと大変だろう…デートの時とか。