Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Shoe In

 昨夕はちょっとした奇跡に立ち会った…いや正確には奇跡を起こしてしまった。
 どうしても台湾で食べたおでんが食べたくなった私は、今宵自分の手で作ってみることにした。水、醤油、酒、ショウガとニンニク…構成要素は意外とシンプルなようであった。どうやらネギ多めがポイントであるらしい。まずは豚ブロック肉250㎏を投入したところで、はて具材は他に何を入れるのがよいのかわからず、大根の輪切りを鍋底に敷き詰めて練り物なども入れてみた。卵などが入っていればより雰囲気が出たかもしれない。
 とにもかくにも台湾の街中のあちこちで立ち上っていた食欲をそそる八角の香りは絶対に欠かせまい、と多めに投入してダメ押しで五香粉も振ってみた。個人的な好みでショウガを多めに入れたことも功を奏したようだ。参考レシピによると「2時間煮込む」と書いてあったが、せっかちな私はとても待ちきれないので1時間に短縮した。多めに仕込んだので明日にはよい塩梅にしゅみ渡ることだろう。
 
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 ともかく煮込んでいる最中、沸騰した辺りから強烈なアノ香りが私のキッチンに立ち込め、仕上げにかつおぶしをかけようものなら、もはや言葉も出ない。家にいながらにして台湾の路地に迷い込んだかのような錯覚に陥り、しばし訪れた旅情に恍惚としたのであった。
 加えて新玉ねぎが出ており、1つ38円とお安かったので、コンソメと胡椒を少々かけてレンジで6分ほどチンした。仕上げにオリーブオイルを垂らしてみたが…これまた至高の甘みに到達しており、感動することしきりであった。最近は無精がちな糠床の中で古漬けになっていた豆腐ほかも何ともよき食感と深みある味わいであった。
 それは間違いなく…この住み慣れたホームにいながらにして、一夜のうちにありつけたとは到底思えないような奇跡の3品であったのだ、絶対である。
 
 がしかしその事実は私しか知りえない…えてして奇跡とはそういうものだろう。
 

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 とはいえ人生全てが上手く、とはいかないものである。
 
 全くもって Everything is "not" alright なのである。
 
 いつも私はひと言多い…自覚はあるのだ。和ませるつもりで何気なく放ったつもりの軽口が、今時間を経て大きな失言となって私自身を苦しめている。しかもオンラインだと相手の反応がダイレクトにわからないため難しい。相手が私の言葉を気にしているかどうかは正直わからない。とにかく相手に対して申し訳ない気持ちから謝意を手短に伝えたものの…LINEが未読スルーということはそういうことだろう。…こういうせっかちなところも何だかな、だ。
 いつも通り自業自得であるのだが、またもや猛省である。
 
 こんな夜にはThe Secret Stars『S/T』(1995年)のカセットでも聴くことにしようか。
 KarateのGeoff Farinaが親友のJodi Buonannoと一緒に、90年代のごく一時期にプレイしていたデュオだ。(2人は特にプライベートではパートナーではなく、それぞれ別のお相手と結婚しているようだ)
 シン…と慎ましく多くを求めたり語ったりし過ぎない作品で…人間かくも謙虚にありたいと身を正すものである。
 

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・The Secret Stars – Shoe In(8:28〜)​


Up in heaven, you're a shoe-in
If you open up your heart to me

 
 焦ってヒトとの距離なんて縮めようとしなくていい、
 自然にまかせてただただ一緒に揺れていればいい…無言でそんな風に言われているような気がする彼ら「秘密の星々」の音楽は今もって稀有な存在である。