Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Spring Rain(봄비)

 佐久間PのANNはお二人のお別れの手紙をあえて読まないアウトロにグッときた。「青春高校3年C組」もついに来週終わってしまうのであるな…。後半はリモート収録の影響か、画を優先するあまりアイドル部のフィーチャーばかりが目立ち、本来の面白さも半減していたように思う。佐藤くんやきめしゅんはさすがとしても、出口、チャーリー、別所辺りの男子の持ち味があまり前面に出ていなかった感もあり、番組全体の失速もやむを得まい。そもそも放送時間が変わって中井りか先生が降板した時点で自分の中ではひとつ何かが終わっていた感がある。
 
 『レッド・ファミリー』 (2013年)をPrime Videoで鑑賞した。韓国に潜伏する北朝鮮工作員の偽家族の生活を中心としたお話で、軽妙なコメディタッチかと思いきや、気が付けばぐっと引きずり込まれては韓国映画特有の傷跡のような余韻を残す見応えのある作品だった。自己のアイデンティティと社会的属性、相互理解とは?…差別の原理についても考えてしまった。たまたま見つけたのだが、今となってはちょっと「パラサイト」前夜感もある隠れた?佳作と言えるのではないだろうか。
 昨年急逝したキム・ギドクが脚本などを担当しており、さもありなんのクオリティである。がしかしキム・ギドクにしても2000年代までの作品こそかかるごとにワクワクしていたものだが、残念ながら個人的にはここ10年は芳しいものがなかった。こと創作においては人間が作る以上、浮き沈みがあるからこそひとつひとつの遺された作品もまた尊いとも言える。特に映像作品の場合より多くの人間の事情や思惑を巻き込んでこそのそれだものね。
 

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 アナゴが安かったので救出して、醤油と酒、みりんで煮てみた。昨日の残りのホヤの酢の物のほか、ほうれん草のおひたしとサゴシのヅケと温野菜サラダを頂いた。ふとウナギとかもう2〜3年は頂いていないことに思い当たった。アナゴもまたさっぱりフワフワしていて十分に好きなのだが。あたかも居酒屋メニューみたいな食生活をしているが、「もちろん」家では引き続きノンアル・ライフを継続中である。
 

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 Shin Joong Hyun『Beautiful Rivers And Mountains(아름다운 강산)』(2011年)をオン。1958〜1974年時のご自身の演奏やプロデュース曲がしたためられた好編集盤である。ここではShin Joong Hyun & Yup Junsの当時大ヒット・ナンバーとして知られる「美人(미인:ミイン)」は未収録となっている。 
 アルバムの表題『美しき山河』は、1972年にShin Joong Hyun & The Menの発表した国民的有名曲「美しき山河(아름다운 강산:アルムタウン・カンサン)」にちなんだものと思われる。このナンバーは、当時パク・チョンヒ大統領の不躾けな要請に反旗を翻して作られたという曰く付きの1曲である。
 

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 「1972年でした。政治的には平穏でしたが、突然維新独裁が始まるまさに直前であり、私は一連のヒット曲を飛ばしながら、歌謡界の親分として持ち上げられていた時期でした。ある日、‘大統領府’と身分を明らかにして一本の電話がかかってきました。誰なのかはわからなかったのですが、通話はほんの5~6分程度で短かったです。‘朴正煕大統領の新しい統治を内容にした歌を作ってくれ’という内容でした。言わば、朴正煕賛歌を作れということでしたよ。私はすぐに‘そのような歌の書き方は知りません。なぜ、わざわざ私に対してそのような注文をするのですか’と反問しました。〜中略〜私はむしろ、独裁者ではない我が国の山河と国民のための歌を作ろうと思いました。それが、1972年に"the men"で発表した‘美しい山河’です」(sekifu blogより抜粋)
 
 「美しき山河」も、寄せては返す川の流れさながらに勇壮にシンプルな循環コードを繰り返す約10分に渡る名曲なのだが…とは言えへそ曲がりの私のこと、ここではあえて別のナンバーを掲載しておこう。ソウルか?はたまた演歌なのか??タメのたっぷり効いたエモーショナルなミッドテンポ・ナンバーで思わず握る拳に力が入ってしまう個人的にお気に入り曲である。たぎる血潮の高ぶりを感じることを禁じえず最高ではないか…ラストのオルガン間奏からのコーラス〜リフレインの哀愁もとても胸打つものがある。
 
・Park In Soo - Spring Rain(봄비)

사랑은 처음처럼 날 다시
태어날 수 있게 만든다
비가 내린다 오늘도 또 내일도
너를 닮은 비가 내려 온다


 ここにはかのKim Jung Miの名作『Now』(1973年)からのナンバーも入っている。『Now』は個人的にも大好きな1枚であるが、ここではかのS. J. Hyun氏が作曲、演奏、ジャケ写真撮影…とその八面六臂の活躍ぶりを見せている作品でもある。

 

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 Kim Jung Miの虚ろげで物憂げな、情念と郷愁が入り混じったようなボーカルが大変ディープに響いて大変素晴らしい。The Menのツボを押さえたバッキング・プレイも素敵やん、である。

・Kim Jung Mi - The Sun(햇님)

 

 「私自身の歌の特徴を捜し出そうと研究しました。踊ることも幻覚的で前衛的な律動になるようサイケデリックを意識して練習しています。これが私の真の姿です(キム・ジョンミ)」
 
 「私が彼女を通じて実現しようとしたことはまさにサイケデリック音楽でした。勿論キム・チュジャやパールを通じてサイケデリック音楽を試みてはいましたが、しかし今度は次元が違った。キム・ジョンミの音楽は、サイケデリックとは何なのかを知った後に創作した本当のサイケデリックだったし、彼女ほどサイケデリックサウンドを理解して消化した歌手はいません」(sekifu blogより抜粋)

・Kim Jung Mi のこと (1)

・Kim Jung Mi のこと (2)

 
 かつてその昔sekifu関氏の運転するデミオの車中でKim Jung Miがかかっており、そこで大韓ロックに初めて胸震えたことをふと思い出した。