Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Strumming Music

 今週は黄砂がびゅんびゅん飛んでいるそうで、そのせいなのかどうなのか妙に体が重くて眠たい。
 
 ミャンマーでは軍事政権による非武装の市民デモに対する暴力的弾圧、アメリカではアジア系住民に対する相次ぐヘイトクライムなど…あまりに理不尽な暴力の発露を報じるニュースが続いて思わず溜め息ばかり出てしまう。
 色々な局面において世界中が飽和状態であることを感じることばかりだが、せめてこれ以上憎しみの連鎖が続かないことを祈るだけである。ここ日本国とてその不条理さのまかり通り方たるや今や他人事ではない。街に出てもピリピリした空気を感じることも少なくなく、まずは最小単位の個人である自分自身がムードに流されないで一度落ち着いてから行動しなきゃね、と改めて言い聞かせるのだった。
 
 麻辣風鍋には豚肉下に豆腐と白菜を敷いてニラ多めにて。ズッキーニとブロッコリなどの温野菜にはじゃこ天を加えてみた。マグロのヅケの下には新玉ねぎを水でさらしたものを敷いて、キュウリちくわと頂いた。練り物が多すぎた…添加物や塩分が多いというのに、あとマヨネーズ久しぶりに使ったな。来る春にチューニングを合わせられておらず、フラついている自分が露呈した晩餐であった。
 

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 春の陽光とは裏腹に何とも気が晴れないので、Charlemagne Palestine『Strumming Music』(1974年)でも聴こうか。
 1曲50分超に渡るご自身による迷いのないシンプルなピアノ演奏が、いつ聴いても清々しくて大変素晴らしい。アコースティックピアノのペダルを踏みぱなしにして小刻みなトリル演を展開しているのだが、そのうちに倍音や残響の干渉などが加わってもはや電子音ともつかないような、何とも名状しがたいオーガニックなうねりが何度も押し寄せてくる圧巻の作品だ。
 

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 何年か前にアバンギルドで故Tony Conradのドキュメンタリーフィルム『Completely in the Present』(2016年)の日本語字幕版が上映されたものを見る機会があったが、 その中でT. ConradとC. Palestineの親交についても触れられていたのだが、自分はその際に初めて動くC. Palestine氏を目の当たりにした。極彩色の衣装に身を包んでぬいぐるみに囲まれてピアノを演奏するその姿は脳裏に深く焼きついたのだった。2000年初頭くらいに氏の硬派なミニマルドローン音響を主体とした作品の精力的なリリースが続いた時期があり、自分の周りでも少し話題に上ったものの、まさかこのような人物による作品だとは思いもよらなかった。現在は西海岸在住だという氏の、フィルムでの語り口調も終始明るくて茶目っけたっぷりであった。
 

 

 ちなみに60年代にNYでの7年間の生活を費やし、街の教会の鐘を毎日演奏した録音を録りためたという作品は、2015年になるまで陽の目を見ることはなかった。
 
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