Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Farce

 ピーマンの肉詰め…られてない、全然。タネが多すぎてピーマンが埋まってしまった。ムネ肉ミンチに切り干し大根やキクラゲ、ひじき、人参とタマネギなどをこねて頂くのがここ最近の定番となっている。余っていた焼肉のタレに赤ワインとケチャップを混ぜたソースをかけて。…半分くらい食べきれず翌日のお弁当と相成った。白菜と大根にブリアラ、水菜を投入したお鍋。しいたけと顆粒出汁と酒、白だしに醤油少々で適当に仕上げて、昨晩の残りのレモン蒸し鶏を温め直して頂いた。
 

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 あぶらだこあぶらだこ(木盤)』(1985年)でも久しぶりに聴いて襟元でも正そうか。
 あぶらだこの作品は初期ADKから舟盤に至るまで、個人的にはいずれ劣らぬ名作だと思っていて、一時期は本当によく聴いたものである。
 

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 中でもこの通称「木盤」は「あぶらだこ」という生命体の覚醒したまさにその瞬間を収めている作品だと思っている。と同時にそれまでのADK時代のパンクマナーもまだ抜け切っておらず、個人的にはそんなバンドの過渡期の塩梅が絶妙なポストパンク盤であると思う。実際この作品以降の独特の「あぶらだこ節」は、ますますそのねじ曲がり&反り具合にも磨きがかかって、もはや異形の最果てへと突き進んでいくので(←これがまた素晴らしい)。
 他の追随を一切許さないヒロトモ氏の無双のボーカルとバンドアレンジは、今もって聴くたびに脳を柔らかく揉みほぐしてくれ、同時に何かから解き放たれるような清々しさに包まれる。
 
 個人的には特にヒロトモ氏の独創的な歌詞が一語一句聴き逃せず、歌詞カードが必携のバンドと言っていいだろう。そのシンプルなアートワークや字間行間にすら美学を感じてしまうのはファン贔屓ゆえだろうか?
 「GREAT PUNK HITS V.A.」に参加しながらも、ヒロトモ氏の直立不動のボーカルスタイルに象徴されるように、その後はティピカルなパンクスタイルからぐんぐん離れていく様もとても痛快であった。
 やはり何かの借り物ではない、創造的なワードセンスや研ぎ澄まされたアンサンブルは今もって燦然と輝いており、誰もそこにたどり着くことができない。自分にとっても大いに指標となるバンドのひとつである。
 
あぶらだこ - Farce(1985年6月6日@渋谷ライブイン)

 

憶の神が地下水で眠っている
虚栄の壁は囚人の壁画
あと僅かの純白な細胞
腐ってしまえば否定の否定
来る日も来る日も臭い夢ばかりさ
疲れた疲れた虚像に疲れた
 

 2009年2月7日に高円寺Show Boatで行われた「26周年記念ライブ」の会場には自分も足を運んでいた。その前年にADK盤が再発された流れもあってか、序盤はまさかの初期ナンバーで畳み掛けてフロアを熱くさせたかと思えば、ノーMCでアンコールを含めてたった30分で駆け抜ける潔さであった。一説ではこのライブを最後に活動を無期休止する噂が囁かれていたが、実際にその後10年以上の歳月が経つが、未だに正式なアナウンスも一切なく沈黙を守り続けている。