Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Locust Star

 ハツをお安く入手することができたので、なるべくシンプルに塩コショウのみで焼いてみた。硬くならないよう注意しながら火を入れたこともあり、プリっとした歯ごたえがなかなか満足いく仕上がりとなった。先に別で炒めておいた野菜類を下に敷いて一緒に、キムチとエノキのナムル、おからパウダーのポテサラ風などの残り物を冷製にて、キュウリの漬け物も頂いた。
 

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 完全に梅雨時期のビールのアテ的メニューであるが、引き続きお伴はノンアルビールのみである。ところで残り物ってば時間の経過とともにカドがとれたり、より味がしゅみたりといった味の変化もそれなりに一興であるが、最近いよいよもって他人が作った料理の味に飢えている自分がいる。残り物がその最たるものだが…そもそも何のサプライズもないではないか。

 Neurosis『Through Silver In Blood』(1996年)でも聴こかしら。
 カリフォルニア産(今や)老舗ドゥームスラッジ・バンドの5作目である。当時十代の私は多分にもれず、オルタナにパンク、ハードコアやメタルなど(うるさい音楽なら何でも)をこよなく愛するキッズであったが、このアルバムを初めて買って聴いた当初こそは、その70分に渡って責め苦のように重苦しく続くヘヴィネスには不覚にも眩暈すら覚えた。
 

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 がしかし不思議と何度も聴き返したくなる魅力にあふれており、その洪水のように垂れ流される阿鼻叫喚を浴びているうちに、いつしかその並々ならぬ気迫と創造性に魅了されている自分がいた。そして遂には彼らの築いた一大理想郷とも呼ぶべき崇高なオリジナリティの深遠に触れては胸打たれることしきりなのだった。何だか宗教じみてるが、実際そういったリチュアルなトランス感も持ち合わせた音楽だとも思う。
 地元カリフォルニアの2大名物インディレーベルLookout!〜Alternative Tentaclesを渡り歩き、アメリカが世界に誇る重量級超人たちの魔窟=Relapse Recordsに移籍してから初リリースとなるこの作品は、当時海外の主要各誌でも取り上げられてすでに評判となっていたと記憶しており、その辺りから彼らの存在を知ったのだったと思う。日本ではDollやEat Magazine誌などでも彼らの記事を目にしていたかもしれない。何しろまだオンラインサインアップ前夜であった。
 今となっては幅広い支持を集めるバンドだが、やはり彼らのルーツはあくまでもローカルなパンクシーンにある、と改めて思う。他と群れることなくその孤高の道を歩み続けてはやがて自身のレーベルNeurot Recordingsを立ち上げ、以降は独立独歩でのリリースを続けている。同レーベルからバンドの古参主要メンバーであるSteve Von TillやScott Kelly各人のアコースティック・ソロ作がリリースされた際にも、その内容の意外性とは裏腹のある種の「ブレなさ」に恐れ入った次第である。
 
・Neurosis - Locust Star (live)

 
Shining blank scars burn way down
It parts ways of the serpent view
Cast stones where to stop calling you
They all lower me to the soil (Stick him)
Star, reign down
On you
 
 Scott Kelly氏のスクリームするお口からは、ポロっと何か生まれちゃうんじゃないか? と思わず心配になる沙汰である。
 目には目を的な意味で、この重苦しく垂れ込めた梅雨空を払うような、さらに重苦しいナンバーをということで…なんて。どうせ梅雨が明けてもどこも行けないしね。