Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Lots of Birds

 日曜日はまっつん邸にてカメ氏のコーラスを中心にオーバーダブ作業。ランチ休憩に豚しゃぶと伏見とうがらし、トマトなどを散らしたそうめんをふるまって頂いた。
 自分は終始その辺に転がってうたた寝を繰り返しているだけであったが、せめてとばかりに途中ハーゲンダッツを差し入れるなどして、何とか後半にかけてバンド一丸となり? 集中力を結集して良いものが録れたのではなかろうか? いよいよ佳境を迎えつつある(と思いたい)。
 

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 河原町七条に新しくできていたDavada Recordに初めて伺ってみたのだが、何だかヨーロッパの老舗レコード屋さんみたいで味わいある佇まいである。店内ではこだわりのスペシャルティコーヒーやブルックリンラガーも飲めるし。元田中のLlamalabo Recordが移転一新して始められた店舗だそう。
 

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 京都の街中の風景に溶け込むようにして点在している古い建造物に個人的に愛着を持っているので、老朽化などで安易に取り壊すのでなく、工夫するなどして何とかこれからも残し続ける選択をしていってほしいものである。(まぁ建物自体がそもそも自然の中に人様都合により勝手に建てられてものではあろうが…)跡地に駐車場やらホテル、マンションやらばかりができると「またか…」とついがっかりしてしまう。

 ナスとピーマン、玉ねぎのスパイスカレー炒め…野菜の甘みを引き立てるスパイスのハーモニーが最高である。アジのお造りとタコを生姜醤油とごま油に漬けたの、切り干し大根のマヨネーズ和えサラダ、キャベツとしめじの蒸し野菜など。週末の(遊び)疲れが浄化されるような夏味ラインナップで満足満腹にて床に就いた。
 

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 Koji Shibuya『Lots of Birds』(2021年)がつい先週届いて以来よく聴いている。
 yumboリーダー澁谷浩次氏のソロ作であるが、これがどっしりと聴き応えある重厚な作品で唸ってしまった。細部までプロデュースの行き届いた作品ゆえ、自分もまた作家のコンセプトに従って和訳の歌詞カードを見ながら各曲を楽しむのだが、音楽はもちろんまた歌詞が素晴らしいではないか。
 

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 パーソナルでありながら誰にも思い当たるような、親しい友人との摩擦やすれ違いなんかが独特の言葉選びで描かれており、その温度感はどこか映像的にも感じる。思慮深く真摯であり、心のヒダの弱い部分に静かに浸透するような作品だと思う。
 「みんなにどう思われているのか知らないけど/僕は嫌いじゃないよ/兄貴は悪くない/絶対に正しいよ」と独自の愛情表現で歌われる「兄貴」とか個人的にぐっときた。
 氏の敬愛するRobert Wyattのような柔らかい歌い口や、XTCを思わせる一筋縄でいかないアレンジなんかの影響を隠すことなく、むしろそれらと潔く向き合ったような純粋な創作の喜びが伝わってくるようだ。
 yumboは自分の周りでも長年に渡って熱心なファンが多いバンドであるが、その一方でこのようなソロシンガーとしての遅咲きの才能開花ぶりも嬉しい限りである。
 
・Koji Shibuya - Lots of Birds

 
I'm dying to see you
Sometimes on the day I feel like a betrayer.
Now I can Listen to your strange story all along
For hours and hours sitting beside you.
 
 自分もまたここ数年は多方面の旧友とも疎遠になりつつあり、誰もが誰かの「何も言わずにいなくなった人」の一人でありうる。そうしてお別ればかり増えていくのが「老いる」ということであることも年々実感するところだ。
 だからこそこうしてレコード越しに澁谷氏の最新の歌を楽しめることこそは密やかな喜びである。そして自分もまた「Lesser-known Artist」の末席の一員?としては、新しい歌を古い友人知人に届けたい、というモチベーションがささやかながらフツフツ涌いてきた次第である。