Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

明日はお立ちか

 来る9月18日の久しぶりのライブステージは、折からの感染拡大状況をかんがみてまたもや延期となってしまった。
 もちろん残念ではあるのだが、その一方では少しホッとしたようなこのやるせない心境を…果たしてあと何度味えばよいのだろうか?
 
 そんな折、ようやく9月初頭にワクチン接種の予約が取れた。待てど暮らせど一向に指定日の連絡はない中、府の斡旋する40代〜の募集枠を見つけたので、受付開始時間にスタンばってはようやくネット予約に漕ぎ着けた次第である。
 次回受付は8月31日から↓だが、毎度受付開始から5分ほどで枠が埋まってしまうとのことで注意が必要かも。
 

 
 先日松本クンの愛車Vamosに便乗して、密を避けながら神戸の地に降り立った。
 カメ邸にてオーバーダブ作業もいよいよ大詰めである。グッドなモーメンツがばっちり録れつつあります。
 
f:id:monomoon:20210827190409p:plain
f:id:monomoon:20210827190400p:plain

f:id:monomoon:20210827190353p:plain

 

 途中休憩にカメ氏の優しい味付けが毎度嬉しいおばんざいに舌鼓を打ちながら。シメのお手製の茶碗蒸しにもしばしほっこり温まった。
 旦那様の光永氏(グラタンカーニバル)にも久々に再会が叶って嬉しい。ここのところ仕事が忙しいせいか体調を崩していたようで、ただでさえ痩身にも関わらずますますシャープさを増しており、少し心配になる。
 
 久々に淡路島にも上陸、お店もビーチも閉まっていたりで、例年の夏の活気はさすがに見られなかった。町の温泉に立ち寄るもわりと閑散としており。
 テイクアウト営業のみのお店であなご弁当を入手しては、トンビに付け狙われながらそそくさと頂いて京都に戻ってきたのだった。
 ああ…今年は夏っぽい思ひ出があんまりないや。
 
f:id:monomoon:20210827190346p:plain
f:id:monomoon:20210827190327p:plain
f:id:monomoon:20210827190335p:plain
f:id:monomoon:20210827190318p:plain
 
 『Longing for the Shadow: Ryūkōka Recordings, 1921-1939(V.A.)』(2021年)でも。サウス・ロンドンのカセットテープ・レーベルDeath Is Not The End発の、(何と)戦前日本の流行歌を集めた発掘コンピである。
 どういうこと? と思わず身を乗り出してしまうリリースだが、逆に日本の音楽ファンだとこのフィールドには切り込まないのだろう。さしずめ逆輸入版戦前ブルースといった風情か。
 

f:id:monomoon:20210825182455p:plain

 
 流行歌と銘打つだけあって、藤山一郎古賀政男田端義夫などの大家のナンバーも収録されており。民謡や小唄なんかの憂いあるマイナー調をベースにしつつ、当時戦前日本の、和洋折衷を楽しむモダンでシンプルな録音作品の数々にしばし心和む。
 冷房を切って窓を開け放ちながらカセットテープを再生すれば、まだまだ蒸し暑い2021年夏の夜に、在りし日の昭和の活気が蜃気楼のようにぼうっと立ち上るようで…いとをかしである。
 
小唄勝太郎明日はお立ちか

 
時計みつめて 今頃あたり
汽車を降りてか 船の中
船酔いせぬか 嵐は来ぬか
アレサ夜空に 夫婦星
 
 「1921-1939」と書かれてはいるが、「明日はお立ちか」のリリースを調べるにこちらは1942年(昭和17年)とのことで、リリックも夫の出兵を見送る妻の壮行と惜別の念を歌った内容で、当時戦時中の軍歌である。
 軍歌とはいえいわゆる国家称揚的なものではなく、特にこの三番などでは伴侶の旅の加護を純粋に願う健気さが滲むように感じる。幸せな夫婦生活もそぞろに突如として戦禍に巻き込まれる大きな不安まで嗅ぎ取れる…とはさすがに言い過ぎか。
 小唄勝太郎は数年前に同レーベルから単独コンパイル作もリリースされていたので、その流れでの今回の収録と相なったのかもしれない。
 ちなみに芸者出身の小唄勝太郎は「東京音頭」(1933年)のヒットでおなじみのシンガーであったが、どうやら戦時中はこのようなナンバーをヒットさせるなどして軍需工場の慰問活動などを行っていたようだ。
 

f:id:monomoon:20210827190417p:plain

 
 本作はレーベルの以下↓bandcampサイトでも全編楽しむことができる。

 
 かつては電子音楽ディストリビューターをしていたという同レーベル・オーナーのLuke Owenのインタビューと作品紹介も面白かった。世代的にもその視点など共感できるところあり。

 
今年も盆及び終戦記念日は過ぎてしまったけど…
いつでも、いついつまでも
N o  W a r
である 。