Slipped, Tripped and Fell in Love
めっきり過ごしやすくなったここ数日の陽気がありがたい。
冬場ともなれば室内でも手放せなかったマタギみたいなモコモコしたフリースウェアも、つい先日洗 濯してしまい込んだばかりである。
掛け布団の枚数も減らして心なしか寝覚めも軽やかである。 今年は満を辞して、 20年くらい惰性で使用していた敷布団をより快適なものに新調し たいと考えている。
久しぶりにキムチを入手したので、去りゆく鍋シーズンを惜しみつつキムチのお鍋など。味噌も加えて一味多めで、夜になれば気温が落ちる花冷えのこの時期もばっちりというわけである。
Ann Peebles『Straight From The Heart 』(1971年)と『I Can't Stand The Rain』(1974年)2 in 1のCDを。
こちらもO.V. WrightやAl Greenなんかの作品と同じWillie Mitchellプロデュースが光るHi Records謹製作である。同様にJames Mitchellのホーンアレンジ、Howard Grimes(Dr.)やHodges兄弟(Mabon "Teenie" Hodges (Gt.)、Leroy Hodges(Ba.) 、Charles Hodges(Org.))が参加しており、 相変わらずそのシンプルながらもキレのあるアンサンブルには 惚れ惚れする。
・Ann Peebles - Slipped, Tripped and Fell in Love
Said I...
Slipped, tripped, fell in love
Then you slipped your love on me
What you did
I slipped, tripped, fell in love
Then you slipped your love on me
Slipped, tripped, fell in love
Then you slipped your love on me
What you did
I slipped, tripped, fell in love
Then you slipped your love on me
個人的には特に『Straight From The Heart 』でのいつにも増してTeenie Hodgesのギタープレイがツボであり、その絶妙さ加減に思わず悶絶してしまう。 さらっとしたクリーントーン主体であるのに、土の匂いのするファンキー& ブルージーが同居しており、 思わず彼の地テネシー州はメンフィスの風を感じてしまうではない の。そして何と言ってもセンターに鎮座するはAnn Peeblesの独特のコクとハネの利いたボーカルがまた圧巻だ 。
砂糖やミルクを必要としない美味しいブラックコーヒーみたいな雑味のない苦 味が大変理想的である。
一方では『I Can't Stand The Rain』のダルでメロウな感じも捨てがたく大変リッチな2 in 1である。そもそも「2 in 1」なる企画自体が贅沢であるのだが、どこかオリジナルヒットの「抱き合わせ」的な貧乏くさいイメージも付いて回るのはこの際いた仕方ないだろう。自分は嫌いじゃないけど。
近年Cairo Recordsから何枚かリリースされているV.A.が、そのセレクション、装丁、プレスともに格別に素晴らしくて、その内の何枚かを買い求めては愛聴している(決してお安くないけど)。ビッグネームから名前も聞いたことのないソウルシンガーのナンバーまで…レーベルおこだわりのレアトラックで埋め尽くされており、ひと度針を下ろせばしばし贅沢気分に浸れるのである。
例えば『Freedom For The Stallion: American Soul Music 1952-1976』(2019年)のオープニングはAl Greenのギターと歌だけの極上トラックから始まる。先述のIrma Thomasなんかも収録されていて、かのAnn Peeblesのナンバーもお目見えする。名曲「I Can't Stand The Rain」のデモVer.で、アルバムでは印象的なリズムボックスやオルガンプレイなどが付け足される前の音源であったりしてとても興味深い。
ちなみにCairo RecordsはO.V. Wright『Nickel And A Nail And The Ace Of Spades』の再発元のレーベルでもあり。
例えばシカゴ、フィリー、NY辺りの都会的な洗練されたソウルファンクもクールだけど、一方ではこのようなゴツっとした風合いのサザン、ディープソウルもまた個人的にはタマらないものがある。
さぁさ今週も金曜日である、どうかピースな週末を。