Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Sapphire

 
 街角のあちらこちらで金木犀が香り出しており、連日過ごしやすい気候がしばし佳きである。
 
 なんばベアーズでのライブは、共演バンドにも刺激を受けた。改めてこのように自分達の音楽が外界と交わる機会が増える機会こそありがたいな、と感じた次第であり。お誘いの声もなければないですっかり外出も億劫になってしまい、お籠りが過ぎてしまったようで反省。
 
 味覚が戻れば同時に食欲がめきめきブーストされている。若干肌寒くなってきたので、失礼して一足お先に鍋のシーズン・カムズである。カメ氏に頂いた大和芋をすり下ろして納豆と頂いたり、ほうれん草を茹でて小豆島土産のお醤油(美味)を垂らしたり。牛肉を焼いてみたりする等…久しぶりに食べる喜びが覚醒して、もはや食欲が止まらない。
 
 
 久しぶりにASAさんに伺ってみたところ、今年もカキフライのシーズンが到来していた。自家製タルタルソースが嬉しい、久しぶりに頂く他人様が作ってくれたお料理の味の沁みること…。しばらく外出しないうちに外界はすっかり秋めいてきていたようで。
 

 
 自宅療養中は徒然なるままに映画もよく観た。もういっそこれを機にネトフリに加入するか本気で迷ったものの、またしても踏みとどまったのだった。
 特に印象に残っている作品は…名優コリン・ファーススタンリー・トゥッチによる名共演の妙に尽きる 「スーパーノヴァ」(2021年)、老いが忍び寄る孤独な頑固者の主人公が何とも身につまされる「ぶあいそうな手紙」(2020年)、ガス・ヴァン・サント監督「DON'T WORRY」(2018年)はアル中のホアキン・フェニックスが何とも痛々しく。キム・ゴードン(Sonic Youth)やキャリー・ブラウンスタイン(Sleater-Kinney)なんかも客演しておりびっくり。
 

 
 あまりなかった緊張感と絶妙な後味を伴う「笑う故郷」(2016年)、ちょっとあり得ない関係性での男女の友情にグッときた「画家と泥棒」(2022年)、電話応対のみでドラマを展開させる「ギルティ」(2018年)、ロバート・パティンソンウィレム・デフォーによる怪演の圧迫感強なモノクロ作『ライトハウス』(2019年)、Whote Zombieのロブ・ゾンビによる監督作でもはや熟練のZ級感が手放しで楽しかった「3 FROM HELL」(2021年)などなど。
 

 

 ここ最近あんまり邦画を観れてないな。アマプラにも5〜60年代の作品が結構アップされているのを見つけては、ブックマークしてたりはするのだけど。
 そう言えば、以前に住んでた物件のちょうど正面の立地であったこともあって、足繁く通い詰めた某TSUTAYAがこの秋口に閉店する報を受けて、ここ最近というものレンタルビデオ屋さんの実店舗からもすっかり足が遠のいてしまっていることにふと気がついた。どうやら急速に時代も移ろっていくようで。
 
 Zombi『Sapphire』12"(2009年) でも。
 主要メンバーSteve Mooreのシンセソロ作が特に大好きなのだけど、一方本家もその名の通り某Goblinなんかのイタロ・ホラー趣味全開なサウンドが◎である。
 

 
 平素はドラマーのA.E. Paterra(Grails他)とのインスト・デュオ形態であるが、例えば清々しいくらいにポストロック臭等は皆無である。むしろ無骨なプログレ然とした壮大さが展開するような長尺作も少なくない。一方この12"シングルはよりエレクトロニックなイタロ・ディスコ然とした内容がまた異色で個人的に気に入っている1枚である。アルバムには未収録作で、John Carpenter辺りにも通じるようなダーク&コズミックなSFディスコナンバーが最高である。
 

・Zombi - Sapphire

 
 Zombiかかつて2007年にJesu(=Justin K. Broadrick)と一緒に来日した際にライブを拝見したことがある。終始仄暗いステージで淡々延々と放出され続けるダーク・アンビエントサウンドはフロアを硬直させていたが、その後のJesuのエネルギッシュなステージへの流れも含めて実に印象的であった。
 
 Zombiはここ10年くらいの間名門レーベル=Relapse Recordsからリリースを重ねていたり、現在はOMとのUSツアーを敢行していたり、と米国ではその周辺のストーナー&エクストリーム・メタルファンにもアピールするサウンドなのだろう。
 

 
 一方今年リリースされた新作『ZOMBI & Friends, Volume 1』のアプローチにもズッコケた。何と全曲ボーカル入りの、Doobie BrothersからEagles、Neil Diamond等々70〜80'sアメ・クラシックバラードを中心に選曲されたカバー作品集であったからである。
 The Sword、Trans Am、Pinkish Black、Zao等のメンバーをバンド要員に迎えて、しかしいずれもおふざけ一切なしのクオリティであり、シンセウェーブAOR的な感触が絶妙に耳心地よい。個人的には特におじさんボイス…否男声でダルに歌われるDionne Warwickのカバー「Deja Vu」は何度でも聴きたい秀逸な出来であり、やはりZombiは興味が尽きないデュオであるな、と改めて感嘆した次第である。
 

 
 2003年に特にリリースする宛もなく録音されて以来、YouTubeにアップされているSteely Dan愛しか感じられないカバーもナイスであった。
 
Zombi - Green Earrings (Steely Dan)