Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

A Calf Born in Winter

 
 12月に入るや、めっきり気温は落ちて一気に師走の慌ただしさが加速してきた(気がする)。我が住処にも無事来年のカレンダーを準備したことであるし、さて今年も早年の瀬である。
 

 
 去るコロナ療養中に、「消化に良かろう」とばかりにネットスーパーで購入したまま冷凍庫に安置されていた冷凍うどんで鍋焼きおうどん。ネギと海苔を散らして生卵を落として連日またおうどん。平時はあまり使わない食材ではあるが、近頃の冷凍うどんクオリティーたるや手軽に美味しくてとても優秀である。関東居住時は断然おそばが好きだったけど、関西に移住からというもの、すっかり薄味出汁ベースのクリアーな関西風おうどんの方を好んでいる。
 沁みる…おうどんてば何故かくも真冬の五臓六腑を優しく包み込んでは温めてくれるのかよ? 白味噌や大葉なんかを召喚してみてもいとをかしである。
 
 
 昆布とシイタケでお出汁を取ったり、立派な金時人参が運よく安価で手に入ったり。
 
 
 平日仕事がハネて(強制終了して…)、Khruangbinの大阪公演@なんばハッチへと遠征してきた。艶やかで控えめなグルーヴとステージ運びが絶妙に心地良くて、終始恍惚であった。
 大袈裟に飾り立てるのではなくて、あくまで3人編成の淡々としたミニマムさも潔くて好ましい。引きの美学というのか、静けさのパートがとても効果的で、例えばYo La Tengo辺りのバンドがそうであるように、各パート間のバランス感も素晴らしくて、その佇まいからして3ピースのある種理想形に近いバンドなのだった。Mark Speerの指弾きのギターのサウンドも好みである。
 

 

 Khruangbin『全てが君に微笑む』(2019年)をば。
 当時フジロック出演を記念しての日本独自企画盤で、アルバム未収録のシングルやEPからの編集盤とのことでのフジヤマジャケだろうか? アルバムでは1st作『The Universe Smiles Upon You』が好きだけど、一方こちらもなかなかお気に入りの1枚である。
 

 
 と言うのも、ここにはアルバム未収録のお気に入り曲が収録されており。
 私が最初にテキサス州ヒューストンのKhruangbinなるバンドを気に入ったきっかけは、名物Mixコンピ・シリーズの『Late Night Tales』Bonobo編(2013年)中に収録の「A Calf Born in Winter」を耳にしたことであった。改めて涼しげなエキゾ・グルーブが清潔感ある静けさに満たされたナイスナンバーだと思う(残念ながらこの曲は今回のライブでは披露されなかったけど)。
 

 
・Khruangbin - A Calf Born in Winter

 
 ライブの一幕で披露したメドレーでも、色んな曲のカバーの断片を繋ぎ合わせてたけど(Isley Bros.の「Footsteps in the Dark」には思わずトキめいたね)、このLPにはMartin Denny「Firecracker」や、Serge Gainsbourg「LaJavanaise」等のカバーが収録されており、そんなセンスも懐の深さを伺わせる。
 クリスマス近しということで、Vince Guaraldi Trio の名曲のグッディーなカバーなぞもついでに。某スヌーピーよろしくな2頭身キャラがキャワゆい。
 

・Khruangbin - Christmas Time Is Here

 
 前回のKhruangbin来阪公演は、残念ながら抽選に外れてしまって参加できなかった経緯もあり、今回は早めにチケットを入手したところ、整理番号=37番であった。悠々と楽しめるのかと思いきや、公演直前になって坂本慎太郎氏のゲスト参加が告げられたこともあってか、チケットは完売してしたようで広い会場は人で埋まっていた(坂本氏はキャンセルだったけど)。
 今回の来日公演での彼等の演奏は感慨もひとしおであった。平日のグルーヴをゆるり堪能してそそくさ京都へと戻ったのだが、その後数日間は心地よい余韻が残った。
 
・Khruangbin - NPR Music Tiny Desk Concert(Live)

 

 今年になってリリースされた共演作は何とAli Farka Touréのご子息=Vieux Farka Touréとのコラボレーション。Ali Farka Touré直系の歌&ギターワークに耳奪われるけど、Khruangbinのバッキングもまた薄味の良いお出汁が利いており流石である。