Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

90% Of Me Is You

 
 ワールドカップですか? 日頃サッカーに全く興味がなく、また自宅にはTVもないため世間の盛り上がりからはすっかり隔絶してしまっている。いざ観戦すれば湧き立つ自信はそれなりにあるけど。それよりも先日の健康診断である。
 視力判定で「E」を叩き出してしまった。おかげ様でここ3年間ほどの間に大分不摂生な生活は改善され、それとともに各所軒並み「A」判定を取り戻しつつあった最中ではショックもひとしおである。日常でも薄々感じてはいたけど、いざ具体的な数値を突きつけられるとぐっと切実に迫るものがある。
 ここ2年以上使用していたメガネが遂に天寿を全うしたこともあり、重い腰を上げてメガネを作り直すことにした。度数を2、3段階上げてみたところ、遠方は大分ハッキリと見えるようになったのはいいけど、今度は近くのものが急激に見えづらくなってしまった。これが世に言う「老眼」というものだろうか? 背に腹は変えられず、スマホを手にする時は少し離したりメガネを外したり…これまたWショックである。
 ついでにLDLコレステロール値(ロー)がこの度「C12(経過観察)」→「B」へと改善したのだが、それでもまだ若干高めのようで。
 対してHDL(ハイ)が近年上昇傾向なのは喜ばしいことである。引き続き健康的な食生活を心がけたいものである。
 遠くのサッカーより近くの健康がより気掛かりな、ミドルエイジの初冬なのだった。
 
 毎日お鍋で構わない。
 というわけで昆布を敷いて出汁をとり、カキ鍋を頂いた。生食用のカキを入手したのでもう半分は生にてポン酢と…冬の至福である。
 

 
 ゆすらごから頂いた柚子をお鍋や芋焼酎のお湯割りに投入したり、はたまた長芋の浅漬けに召喚してみたり。
 カメちゃんから頂いた醤油、まっつんから頂いた柚子胡椒…等が引き続き随所で活躍してくれており。周囲の皆様のご厚意に本日も生かされている。
 

 

 コロナ禍中でのしばし隔離された孤独な日常の反動からだろうか? たまたま大箱でのライブ好いている。
 平日仕事がハネて(強制終了)、Black Crowesの大阪公演@Zepp大阪ベイサイドへと足を運んだ。かつてZepp なんばでBob Dylanのステージを拝んだことがあったが、一方こちらはUSJのご近所の立地である。関東で言えば浦安やらお台場みたいな雰囲気とでもいうのか。
 かつてガラスの十代の時分に愛聴したB. Crowes(黒カラス)の生のステージをまさかこの歳になって拝めるとは思わなんだ。
 

 
 
 1stアルバム『Shake Your Money Maker』(1990年)からのナンバーを中心に演奏する主旨の今回のツアーらしい。当時最も愛聴した彼らの作品は2nd作『The Southern Harmony And Musical Companion』(1992年)であり、『Shake Your 〜』もその時に初めて手にした筈である。3rd〜4th辺りも当時リリースされたばかりの新譜をリアルタイムで買い求めては愛聴していた口である。
 一聴してパッとした派手さはないが、良い曲を各バンドで一度好きになれば実にスルメ的な旨味がするバンドである。例えばGratful Deadみたいなオープンなヒッピーサイケ感溢れるアメリカンロックは今もって魅力的であり、それに加えてコーラスやリズムなど随所に土臭いサザン・ソウル&ゴスペル、ブルースなんかのフィーリングを色濃く感じる。
 

 

 余談であるが、90年代当時これまた入れ上げていたSonic YouthThurston Mooreのインタビューを読んでいて「B. Crowesなんて単なる懐古趣味だ」みたいな言われようをされており、そっと悲しくなったものである。かく言うSonic Youthもその後あれよとフツーのロック化の一途を辿るのだから分からないものである。
 その後Chris & Rich Robinson兄弟のドラッグ問題や不仲説が囁かれて、その後はそれぞれソロ活動に忙しくバンドメンバーも入れ替わりがあったり…でバンドとしての活動も鈍くなり、自分も何となくバンドからも遠ざかってしまった。というわけでChris & Richの仲直りに伴うこの来日公演は自分にとってはそれだけでとても嬉しく、実際にライブも終始ピースフルで大変素晴らしかった。今や90年代当時のメンバーは誰も残っていないけど、やはりChris & Rich兄弟の呼吸は老いてなおばっちりであった。当時はうら若いお兄ちゃんたちが年寄りくさいロックを演奏している風情のギャップが面白かったと思うけど、今や年齢が音楽に追いついたというのか、ますます円熟味ある演奏ですっかり感激してしまった。そして特筆すべきはアンコールのVelvet Underground「Rock n' Roll」…自分の中で色んなことが繋がっては、思わず心中で「It was allright」などと独り言ちてしまった。
 たまにはこうしてレスポール×マーシャルの大陸的な太っとい鳴り=アメリカンロックを無心で頭から浴びたい、というのが人情というものである。かつて愛聴したBlack CrowesのCDは実家の押し入れの中で眠っているが、一部LPやカセットは確か現住居にもある筈…是非とも久しぶりに聴き返してみようではないの。
 

 
 ところで最近の大箱ライブは撮影OKとする会場も少なくないのだな、とも思ったのだけど、これはバンドの意向にも左右されるのだろうか? ちなみに山下達郎の会場では開演前のステージを撮影するだけでも注意を受けた。
 一方B. Crowesは昔からライブのブートCDも多く出回ってたし、Khruangbinにしても、ライブ動画をよく見かけるではないか。もしかしたら2バンドともデッドヘッズよろしく、オープンマインドなアメロック遺伝子を脈々と受け継いでいるのかもしれない(勝手な想像だけど)。
 
 Gwen McCrae『Gwen McCrae』(1974年)でもよ。
 かねてより欲しかった念願にして最高のLPをようやく安価で(大事)入手できた。Betty Wrightと並んで素晴らしいマイアミ・レディーソウルを聴かせてくれるGwen McCraeの全曲大好き1st作である。
 

 
 内に込めるような、少しやさぐれたように絞り出される独特のボーカルの質感が手放しで格好良すぎる。メンフィスやニューオリンズのフィーリングにも通じる、ホーン・アレンジも入ったサザンソウル特有の土臭いバッキング演奏も含めて大好きである。
 聴くほどにコクと苦味のある力強い音楽で、体内から力が湧いてくるようで…気が付けばついつい拳にも力がこもってしまうというものである。しかもTimmy ThomasLittle BeaverBetty Wright等、地元の名士たちの客演まで聴けてしまう贅沢盤である。
 
・Gwen McCrae -  90% Of Me Is You

 

How can I do the things I wanna do
When 90% of me is you?
My heart no longer does what I want it to
Because 90% of me is you
 
 同時期に地元名門レーベルCatからリリース(1975年)されたアルバム未収録シングルがまた痺れる名曲でして。
 
・Gwen McCrae - Rockin' Chair

 
Let your arms shelter me from all hurt and pain
Light my heart with your everlasting flame
 

 やれ金曜日だとか、自由を手にしろ。
 勝手にしやがれ、である。