Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Gemäßigter Aufbruch

 

 まっつん氏の新車にまたがってはるばる奈良県は吉野の天川村へ(R.I.P. Vamos)。
 クリアーな空気と水運に恵まれた静かな山間の村の温泉に体を沈めて、しばし羽を伸ばしてきた。
 さすが林業でさかんな地域とあってか、内湯や脱衣所の壁面も総木張りで香りの良いこと。温泉施設のみならず、村のあちらこちらで地産と思しき木材がふんだんに使用されている場面をお見かけした。机、床、割り箸…DIYで手ずから建てたカフェまで。
 

 
 帰り際には弁財天に立ち寄って、手を合わせて来年の開運を祈念してきた。自然との距離がぐっと近いというのか、独特の神聖な空気に包まれた村であった(単純に雨天で霧も濃かった)。京都からは車で2〜3時間とさすがに遠かったけど、その甲斐もあったというものである。
 

 

 たまらず懐かしの関口誠人天河伝説殺人事件」(1991年)が聴きたくなり、YouTubeでプレイするなど…。
 ちなみに改めてこの曲のクレジットを眺めてみるに、「作詞:松本隆、作曲:関口誠人、編曲:井上鑑」という作家陣によるものだった。ついでに関口誠人氏が元C-C-Bのメンバーであったという事実も、この度まっつん氏に伺って初めて知った次第である。…というかC-C-Bですら「Romanticが止まらない」しか知らないや。
 

 
 道の駅でお土産に、と入手したこんにゃくとお揚げを炊いて田楽風にして頂いてみたところ、芋焼酎のお湯割によく合いますこと(写真は水割りだけど)。多めに炊いて2日目以降のシュミシュミのを頂くのもまた贅沢である。
 こんにゃくを頂いて、こんなに美味しいと感じたのは初めてかもしれない。ちなみに現地で頂いたアマゴの塩焼きも、さすがにこの時期は養殖物ながら、ふっくらホクホクしていて淡白ながらも美味しかった。ひとえに地域に流れる水のクリアーさゆえなのだろう。
 

 

 Manuel Göttsching『E2-E4』(1984年)を。

 今月初頭にManuel Göttsching氏の訃報が入った。享年70歳とのことである。
 

 
 『Ash Ra Tempel VI: Inventions For Electric Guitar』(1975年)を初めて聴いた際、その官能的で艶やかなギターのテクスチャーが織りなす万華鏡のような音楽にすっかり入れ込んでしまった。
 

 
 一方その後80年代初頭に製作された『E2-E4』は、特にその序盤こそほぼほぼミニマルなシンセ・ミュージックである。全編が瞑想的な2コードの繰り返しで構成される潔さで、とにかくシグナルが点滅するように差し込まれる電子音がいちいち脳に心地良く響く。そしてA面後半より御大のギターソロが顔を出し初めて…B面では全編に渡って延々朗々と弾き倒している。意外とオーソドクスなスケールに沿ったようなフレージングと見受けられるけど、暑苦しさは感じさせず、終始クールに色気のようなものを醸し続けている点はさすがである。スープが絡みやすい麺みたいな感じで、電子音によく絡むこのギターのトーンなのだ。
 耳を傾けては無心になり、解き放たれてしまうトリッピー傑作盤で改めて大好きだ。
 
Manuel Göttsching - E2-E4

 

 「Manuel Gottsching : 誰も興味を持ってくれなかったからさ。明らかに早すぎたんだ。ドイツの音楽誌の中には(特にベルリンの有名な音楽誌 ZITTY には)「こんな楽曲は馬鹿げていて音楽と呼ぶに値しない」と書かれたりもしたしね。このアルバムを発見して、世に広めてくれたのは、ニューヨークで Paradise Garage を運営していたアメリカ人 DJ の Larry Levan だったんだよ。その後 ZITTY も記事を改めて、謝罪の文章を掲載したんだ」
 

 M. Göttsching氏のご尊父は発明家だったそうで…なるほど。『Inventions For Electric Guitar』から『E2-E4』への変遷のきっかけ、現代音楽やPeter Green等の影響、当初ダンスフロア向けに作られた音楽ではなかったにも関わらず、かのLarry levanによって発見されフロア向けにプレイされたエピソード等も興味深い。