Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Guinnevere

 
 結果的には「最強寒波」と謳うだけのことはあった。
 夕方になり風雪が強くなったかと思えば、みるみる間に雪が降り積もり…一晩で京都の街がすっぽりと雪に包まれてしまった。
 少なくとも個人的には京都に住み始めて、これだけの雪が降った経験は初めてである。16時頃に事務所での業務を切り上げてとっとと帰宅することにして、急遽テレワークに切り替えたことが結果的には功を奏した。外に干しっぱなしにしていた洗濯物も無事取り込めたことだし。…というわけで昨日〜今日というもの、通勤路のあちらこちらに即席スケートリンクよろしくのツルツルのアイスバーンが出現しており、全くスリリングである。
 豪雪から一晩空けた昨朝はレインブーツを装着して、いつもよりゆっくり時間をかけた通勤となった。
 

 
 来る日も来る日も鍋が続いている。我ながらよく飽きもせず…と思うけど、野菜も多く摂取できてヘルシーであるし、何より毎日の気分や加減で味も全く異なるので飽きが来る理由もない。この極寒の京都の冬の陣においては、毎晩のように熱々の汁物料理が恋しくなるのは必定である。昨晩は冷凍のハンバーグを投入し、ビーフシチューのルーを割り入れるなどして洋風仕立てにしてみた。隠し味に白味噌を召喚してみたところ、なかなかにでコクが出て美味しくなったのはいいのだが、一方塩分の過剰摂取にも気を配らなければならないお年頃である。
 

 

 Crosby, Stills & Nash『Crosby, Stills & Nash』(1969年)を。

 かのDavid Crosbyも先日81歳で鬼籍に入られたそうである。
 

 
 個人的に、David Crosbyの軽みがあって柔らかい歌声が好きである。しかし実のところ、D. Crosbyの曲や演奏が取り立てて特に好き、という聴き方をしたことあまりない。
  D. Crosbyと言えば、ソロ作『If I Could Only Remember My Name』(1971年)も愛聴したものの、実際のところ、こちらにも彼の多くの友人たちが客演していたし、(無情にもクビを宣告された)初期Byrdsにしても…彼が参加するバンドは、いつでもアンサンブルの調和がうっとりするほど素晴らしいと思う。
 改めて思うに、D. Crosbyは周囲とのアンサンブルの中にこそ、自己の役割を上手く溶け込ませることのできる稀有な才人だったのではないか? なんて。殊にこのCS&Nの1st作におけるバンドのハーモニーの美しさたるや絶品である。シンプルで滑らかなアメリカーナフォーキー演の上を3人のコーラスがそよげば、思わず天にも昇りそうに心地良い。
 Stephen Stills作の1曲目「Suite: Judy Blue Eyes」に端を発して、以降は満遍なく3人それぞれのペンによる曲がしたためられており、全体に風通しの良さも大いに感じる。はたまたJefferson AirplainのPaul Kantnerとの共作曲「Wooden Ships」など、当時のシスコ・サイケ臭も随所に立ち込めており大変ゴキゲンだ。
 
・Crosby, Stills & Nash - Suite: Judy Blue Eyes

 
 CS&Nの発端が、Joni Mitchellのフラットで3人でジャムって意気投合したことから、というエピソードも好きである。前年にリリースされたJ. Mitchellの1st作『Song to a Seagull 』(1968年)はDavid Crosbyによるプロデュースであり、当時の信仰の深さが伺えて微笑ましい。ちなみに界隈で浮名を流したミューズ=Joni Mitchellは、この当時はGraham Nashと付き合っており、このアルバムの中でのG. Nashのナンバーはかなりの割合で当時の愛すべきパートナー、J. Mitchellに当てて書かれたものだと何かで読んだことがある。
 
 アルバム中の流れの中では一聴異色とも思えるような、3曲目=David Crosby作のこの変速チューニングによる優美な響きの穏やかなナンバーもお気に入りである。
 
・Crosby, Stills & Nash - Guinnevere

 
Guinnevere had golden hair like yours, m'lady, like yours
Streaming out when we'd ride
Through the warm wind down by the bay Yesterday
Seagulls circle endlessly
I sing in silent harmony
We shall be free
 

R.I.P. David Crosby
 
 生涯を通して平和、愛、調和を重んじたそうであるD. Crosbyだが、晩年のNeil Youngとの長年に渡る確執は果たしてついぞ解消されたのだろうか? 
 ドラッグによる影響も色濃かったろうと察するけど、かつての友人とのふとした行き違いから、気が付けばもう何年も会ってない…なんて話はよくあることだけど、だからこそ切ない話である。