Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Of Information and Belief

 
 急速に春めいており、厳しい寒さが和らいできたのは喜ばしいことだけど、同時に少しずつ春に向けてそわそわと浮き足立ち始めている自分を感じている。くれぐれも調子に乗っては他人様にご迷惑をおかけしたり、怪我や落とし物などの粗相にも気を付けて、落ち着きを持って過ごしたい所存である。自愛は他愛でもある。
 特に来週は今のところ…Jackson Browne御大の来日公演、その翌日はBJCを楽しむ夕べ、週末には久しぶりにDJ…と予定が目白押しである。図らずもそのいずれも趣向が大きく異なるため、スイッチの切り替えも求められよう。くれぐれも長っ尻には気を付けて大人らしく「潮どき」を見極めたいものである(などと自戒の念を込めて独りごちてみる)。
 
 まっつん氏の運転でお隣の滋賀県までちょっくらドライブ。朝の早出の甲斐あってか、広々とした温泉には、ちょうど空いている時間帯にゆるり浸かれることが出来た。のち古民家でハンバーグを頂く、など。リタイアしたら琵琶湖畔に居を構えるのも悪くないな、なんて。
 

 
 10余年ぶりに金沢カレーを食してみた。ここ京都にも数年前にゴーゴーカレーのチェーン店が丹波口駅前に出店されたのを横目では見ていたが、こうして入店するのはお初である。とろみあるルーはショウガがよく利いており美味しく頂いた。独自開発の先割れスプーンで頂くのがトレードマークだ。
 

 
 いよいよ冷ゃっこいビールの美味しい季節の到来である。
 
 ドラマ『ブラッシュアップライフ』が最終回を迎えた。いわゆる昨今流行り? のタイムリープものということになるのだろうが、毎回大変面白く見れた。バカリズム氏による脚本がとにかく秀逸で伏線回収や小技の応酬がいちいち楽しい。水川あさみ氏が登場してから後半にかけての展開も怒涛であった。
 個人的に特筆すべきは、全体にキャスティングが良く、特に個人的には安藤サクラ氏と夏帆氏は、終始さりげないナチュラルさが光る演技であったように思う。
 「1989年生まれ」の同級生という設定であり、世代は自分とほぼひと回り違うのだけど、当時の90'sカルチャーの描写に対する共感も随所にあり。
 

 
 女性4人の友情というテーマで言えば、最近たまたま『Harlem』というドラマを見ている。異性の立場としては、つくづく女性同士の友情関係を継続させることの難しさを感じつつも、だからこそ他人からは決して不可侵な絶対的な聖域に護られているようなチームアップ力を感じては、少し羨ましくもなる。
 

 
 June Of 44『Four Great Points』(1998年)を聴く。
 かつて90〜00年代にシカゴやルイヴィル、ワシントンD.C.辺りを中心に派生したローカル・ポストハードコアシーンのもたらした恩恵を浴びまくった身としては、鼻の奥がツーンと痛くなって思わず胸が苦しくなる瞬間ばかりが結集した傑作である。
 

 
 メンバーからして、Jeff Mueller(Rodan, Shipping News), Sean Meadows(Lungfish, Sonora Pine), Doug Scharin(Codeine, Rex, Him), Fred Erskine(Hoover, Crownhate Ruin, Just A Fire)といった、その筋にはたまらない(かもしれない)鉄壁の布陣によって構成されている。
 いわゆるな音楽ジャンルをおざなりになぞるのでもなければ、喜怒哀楽といった感情にダイレクトに訴えるのでもない音楽…なんとも名状しがたい不協やグレーさを内包したサウンドの機微こそが彼らの音楽の底知れない魅力だと個人的には思っている。
 
 ちょうど先週の去る11日に、京都アバンギルドで催された彼らの来日公演を拝んできたところなのだが、上記LPはこの日のお土産に購入したものであり、その時に頂いたメンバー全員分の直筆サインがしたためられている。残念ながら2000年を境いに一度は散り散りになったJO44であったが、20余年の歳月を経て、この度まさかの来日公演を遂げるとは、文字通り「奇跡」と言えよう(Imakin Records の気迫の個人招聘に感謝)。
 

 
 当日は朝から期待と不安が入り混じった気持ちで、(もはや近年あまりないことだけど…)終始ソワソワしたまま夕方を迎えることとなった。いざ蓋を開けてみれば、4人それぞれの個性が高次元で拮抗することで生み出される独自の緊張感とコクあるグルーヴが圧巻の大変素晴らしいステージであった当日は上記アルバムからも往年の名ナンバーが多数披露されており
 
・June of 44 - Of Information and Belief

 

Your time has come
Your day is done
We can't stay here
We've been warned into deep
Nailed to the floor Into deep
 
 D. Scharinのまるで歌うかのように操られる自在なドラミングとF. Erskineの太っとくうねるベースによるリズム隊、J. MuellerとS. Meadows両氏による、もはや枯淡の渋みすら漂うツインギターによるアンサンブルの妙は、特有の中毒性があり…このまま永遠に彼らの演奏に浸っていたい、と強く感じたのは自分だけではなかったろう。
 長年コマーシャリズムに打って出ることなく、アンダーグラウンドなパンク精神を持ち続けてひたむきに歩んできたバンドのサウンドは、やはりひと味違う。例えばあえてシャウトせずに淡々と独白するようなボーカルに象徴されるように、自身の生き方やカルチャーと真摯に向き合ったその音楽には今もって突き動かされるものがあり、そのミュージシャンシップにもリスペクトがやまない。改めて自分たちだけの「声」を持っているバンドはやっぱり説得力が違う。
 今年、否近年見たライブの中でも1、2を争うくらいの深遠な感動に包まれたライブであった。故Jason Noble(Rodan, Rachel's)も参加してのShipping Newsの2006年の来日公演@川崎Bottoms Upは、未だに記憶に残る大変充実した内容であったが、今回のJune Of 44の来日公演もこれから先も長きに渡って自分の心に残り続けることだろう。
 

 
 終演後は、彼らのジェントルなお人柄をいいことに…この機会をいいことに全メンバーにサインと記念撮影をお願いしてしまった。
 ここぞとばかりにShipping NewsのTシャツを装着して、J. Mueller氏の隣で顔をほころばせる姿は、ミーハー・ファンもいいところでお恥ずかしい限りだけど…それほどに自分の記憶にちゃんと留めておきたい稀有なステージだったんだもの。
 

 
 とかく過去と未来にとらわれがちだけど、まずは目の前の現実にこそ向き合わん、とぞ改めて考えちゃった週末である。
 もう金曜日。佳き週末をお過ごし下さい。