Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Magnolia

 
 はるばる大陸の砂漠より春風に乗ってやってくる黄砂の影響だろうか? ここ数日というもの喉鼻の調子が芳しくない。
 例年に比べて花粉症状が軽かったのですっかり油断していたのだが、そう甘くはないのが昨今の地球環境における変動状況である。
 はたまた風邪かしら?
 
 金子由里奈監督作『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を鑑賞すべく先行上映会@京都みなみ会館に伺ってきた。
 

 

 声の小さい者、声なき者への監督の優しい眼差しがひしひし(ひそひそ)伝わってくるような傑作であった。
 登場人物間で交わされるぎこちないやり取りが、いちいち身につまされては大いに我が身を振り返っては改めて他者や社会との関係性を見直したり、同時にささやかな勇気や希望といったものを頂ける作品であった。結びのシーンからエンディングにかけては、感動が込み上げてきて思わず不覚にも落涙しちゃったりして。
 映画製作の専門的なことはわかりかねるけど、観客への伝わり方にも圧倒的な成長が見られて、プロフェッショナルの現場での監督の切磋琢磨を見た思いである。
 とは言え、どこを切っても全くもって金子監督にしか撮ることができない独特の映像美が連綿と続くので、またしても終始目が離させないのであり、その強固なブレない作家性にも改めて感服してしまった。
 ジョンのサンの劇伴とわがつま氏の主題歌も、ともに映像と共鳴しては響いた。
 わざわざ監督ゆかりの地である京都で全編ロケを敢行し、その京都で全国に先がけて先行上映、という点もシビれさせてくれるではないか。大学時代の恩師まで登壇されては貴重なお話も聞けて、より作品への理解も深まった。
 

 
 かつて我がMoon Face Boys「コールドヒート」MVの制作でも全面的にお世話になったものだったが、もはや当時のように気軽に声をかけることはできなくなってしまった気がして寂しい思いもある一方、やはりこうしたご活躍を会心の新作を通して拝見できることは大変嬉しいものである。
 

 
 京都アバンギルドでTurist(Danmark)とAnders Bach (Danmark)+ 山内弘太 + Bingの公演を拝聴してきた。
 

 
 Turist(ことRasmus Kjær)氏は終始愛嬌を湛えたチープ&ストレンジなシンセ・サウンドがいちいちツボに入りまくる素晴らしいライブ(ラリー)ミュージックであった。サポートとして加わったAnders Bach氏のドラムも、おざなりなオカズやサステイン等を一切排した、そのひたすら硬派なビートに大いに感銘を受けた。A. Bach氏はモジュラーシンセも演奏しており、その鋭いセンスにひたすらミュージシャン魂を感じたのだった。
 A. Bach氏と山内弘太氏にBing氏を加えたセッションも、三様な合奏が徐々に一体感を持ち始めて、やがて地鳴りの如き轟音が渦巻くサイケデリック・ジャムに心地よく酩酊した。仙石彬人氏のオーガニックなVJも大いに非日常性を演出していたように思う。
 いずれもライブならではの気迫が十二分に伝わってくるもので、このようなツアーを組んでくれた主催の山内氏やデンマーク勢の来日には陰ながら労いと謝意を述べたい。…そもそもかねてより山内氏のDJでしばしばかかっては、その度に気になっていたのがTurist氏の音楽なのだった。
 

 
 春キャベツや新玉ねぎを供した自炊メニューが食卓に並びがちな昨今である。豚肉は疲労回復効果もあるようで。
 今年の春は3〜4年ぶりに夜遊びの機会が急激に増えたせいか、それに伴って外食も増えたりするといよいよ生活のリズムも崩れがちであり、都度体調のケア及びリセットが必要なお年頃なのである。
 疲れを感じる晩は、何はなくとも栄養価の高いものを摂取して、入浴したらさっさと床に就いてしまうに限るのだった。
 

 

 J.J. Cale『Naturally』(1971年)を。
 J.J. Caleのザラっと乾いた感触の歌とギターが大好きで、しばしば聴きたくなる。とりわけこの1st作は特にお気に入りである。
 

 
 ゆったりレイドバックした曲調、ごくシンプルで飾り気の一切ないプロダクションは文字通り『Naturally』に相違ない。さらっと演ってるけど、こういうのこそ難しいのだよね。
 思いの外、各曲の尺は全て3分前後と短めであるのが彼の作る音楽の特徴でもあるのだが、そのタイムレスなトーンを聴いているうちに思わず時間の感覚を見失ってしまう。どの曲も良くて、気がつけばあっという間に30分という時間が過ぎているのが常なのだった。
 
・J.J. Cale - Magnolia

 
Magnolia, you sweet thing
You're driving me mad
Got to get back to you, babe
You're the best I ever had
 
 ひとり家に帰り着いて、ホッとひと息入れ落ち着きを取り戻したい時には、こんな音楽が自分にはちょうどいい。
 
 さて金曜日。どちら様もどうか平らかにお過ごしあれ。