Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

River Deep-Mountain High

 
 今週から近畿地方も早々と梅雨入りしたのだそうで、本日は束の間の晴れ間である。洗濯物を早めに取り込んでしまおう。
 
 先週末はのん氏にお誘い頂いて、民博こと国立民族学博物館で現在開催中の「ラテンアメリカの民衆芸術」特別展へ出かけてきた。まっつん氏も帯同してドリカム編成にていざ。
 

 
 久しぶりに訪れた万博記念公園は晴天の下、初夏の熱気を帯びていた。園内で開催中の催し諸々も重なったようで結構な人手であった。がしかしただでさえ広大な敷地の中、ひとたび民博に入ってしまえば圧迫感はほとんど感じることなく、クーラーのきいた涼しい館内でゆっくりと展示を堪能することが叶った。
 誘われるままに予備知識なく何となしに足を踏み入れたのだったがいやはや南米より取り寄せた新旧珍品お宝の物量たるや生半可でなく…館内はジャングルのような様相を呈していた。
 

 

 名も知れぬ市井の作家たちによって命を吹き込まれた1品1品の放つエネルギーのアッパーで強烈なことと言ったら…何か名状し難いポジティブなヴァイブスを頂いた気もするけど、昼前から乗り付けてたっぷり3時間ほどかけて鑑賞し終わる頃には、すでにぐったりしていたのだった。
 
 
 メキシコ辺りのアートのプリミティブさとか、例えばJad Fairの作品なんかへの影響を感じたりもして。
 
 そのフォルムといい、色合いといい、風合いといい…何とも目が離せない愛嬌あるコレクションの数々にすっかり魅了されてしまった中年3名なのだった。
 館内でランチ休憩をとってから、さてここまで来たからには常設展も見ていこうとなったわけだが、常設展の質量がこれまたエグくてですね…とてもじゃないけど全編ちゃんとは見切れなかった。
 
 
 特別展ですでに大いに満足していたので、常設展はついでに「流し見」するくらいのモチベーションで臨んだのだが、これがまた広大な敷地内に所狭しと世界の名品珍品が並べられており。さらっと周るのでも何だかんだで気が付けば2時間くらいが経過していた。だんだん自分が今どこにいて何を見ているのか境界が分からなくなってくるような不思議体験であり、久しぶりに訪れたけどこんなに広大なスペースだったとは改めて知ることとなった次第である。
 
 太陽の塔にも会うことができるし、入場料金も良心的である。是非ともまた時間を見つけて何度でも再訪したい稀有なスポットである。
 

 
 ナスが安くて重宝している。
 キノコ3種(エノキ、舞茸、シメジ)をごま油と白だしを加えてチンした簡単ヒットであった。鶏肉と野菜を炒めてガラスープ素と醤油で煮たのも2日目は特に味がしゅんでおり。
 何でも煮物ってば、温度が下がる過程で水分を蒸発させる代わりに、お出汁の旨味を具材が吸い込むらしいね。

 

 
 Ike & Tina Turner『River Deep-Mountain High』(1966年)をば。
 Tina Turnerまでも鬼籍に入られてしまった。晩年はスイスで静かに隠居生活を送っていたそうだが、近年は複数の持病も抱えていたようである。享年83歳とのことで合掌。
 

 
 Tina Turnerの遺した名作は数あれど…先述Brian Wilsonからの流れ(Phil Spectorの大ファンとの由)もあってか、昨夜から何となくこちらの作品を聴き返していた。
 Phil Spectorが直々にIke & Tinaにプロデュースを申し出た作品と言われているが、改めて何とも不思議なバランスのアルバムである。
 
・Ike & Tina Turner - River Deep Mountain High

 
But only now my love has grown
And it gets stronger, in every way
And it gets deeper, let me say
And it gets higher, day by day
 
 Phil Spectorによるプロデュースは「River Deep-Mountain High」、「A Love Like Yours」、「I'll Never Need More Than This」、「Save the Last Dance for Me」、「Every Day I Have to Cry」の5曲にとどまり、残りは Ike Turnerのセルフ・プロデュースによる往年のレパートリーのリメイク・ナンバーが挟まれるという無茶な構造となっている。
 一丁それと判るPhil Spectorの息のかかったウォール・オブ・サウンドと、自身によるよりプリミティブなテイクとのコントラストに当初戸惑いつつも、意外や慣れるとこのつぎはぎ感の不思議なバランスも癖になってくる、自分の場合。
 ウォール・オブ・サウンドの分厚いエコーの向こうに霞んでしまった(だろう)Ike Turner持ち前のシャープなギターワークも聴きたくなるのが、人情というものであるからして。一方Tina Turnerの堂々たる歌唱は、煌びやかなウォール・オブ・サウンドにも負けないどころか双方煌びやかに引き立て合っており大変相性がよいように思える。
 Tina Turnerの突き抜け感のあるボーカルってば、聴いてるうちに不思議と体の奥から沸々と活力が湧いてくるから不思議である。
 

 
 60年代のIke & Tina Sue Recordsからのリリースもカッコいいし、一方この辺りの時期のソロ・キャリアもお気に入りである。こんなにエネルギッシュなシンガーってそうそういない…R.I.P.