Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Funk Off

 
 東京での新生活が始まって早いもので約3か月が経過しようとしている。
 実際今年の夏の暑い盛りはいつになく目の回るような慌ただしさであり、ひとたび立ち止まろうものなら、思わず吐き気でも催しそうになるので、そのまま足を休めることなく無心で前進をしし続けた…というのが正直なところである。
 引っ越しや職場の異動に伴う喧騒が諸々ひと段落するや、東京の街角にもあちこちでキンモクセイの心地よい香りが、立ち込めてきて…などとようやくホッとひと息付けたのも束の間、早くも気温は下がってきて冬の気配が忍び寄っている。
 秋の深まりとともにじわじわと京都の小径の暗がりが恋しくなってきたのもまた事実だ。いずれにせよ、自分が選んだ人生の道である。
 
 京都を去る際には、ろくろく周囲の友人知人にもご挨拶もできなかったけど、挨拶して回ってたらそのまま後ろ髪を引かれてしまい京都を離れることなど出来なかったかもしれず。
 そんな中で月に1~2度のペースで出張が入りそうであるのは喜ばしいことである。とは言えあくまでも商用なのであまりのんびりも出来ないのだけど
 それとはまた別に先週は土日休みを利用して京都へ行ってきた。区営施設を丸1日予約してバンドの録音作業に勤しんできた。窓から見える保育園の庭では折しも秋の運動会が執り行われていた。
 

 一方東京ではここ最近というもの外気もめっきり涼しくなって、ますます下町散策がはかどる季節の到来である。
 京都在住時はどこに出向くにも自転車が主な移動手段であった。結果ほとんど歩くことがなくなっていたのだが、東京に移り住んでからというもの、その事実を改めて痛感したのだった。というのもここ2か月というもの、お尻が慢性的に筋肉痛でジンジン痛いのである。長きに渡る自転車生活ですっかり筋肉も痩せ細ってしまっていたのだろうか? 
 そう言えば京都在住時には一時期、自転車に乗ると発症する謎の股関節炎に悩まされた時期があった。1年ほど近所の整体に通って教えらストレッチを毎晩寝際に習慣付けていたらいつしか治っていたが、あながち歩行習慣がめっきり減ったことと無関係ではないのかもしれない。
 はたまたコロナ禍で外出が減ったり、もしかしたら自炊の頻度が増えて糖質制限食による筋力低下の影響なんかもあるのかもしれない。あくまでも推測の域を出ないけど。
 
 改めて東京砂漠は広大であるし、主たる移動手段は電車であるが、ひとたび電車を降りても目的地まではどこに行くにもまぁよく歩く
 歩けども歩けども新たな発見があって、大東京たるや改めて飽きが来ない珍妙な街である。
 
 
 「そば」と「うどん」…関西では圧倒的に「うどん」が根強い支持を集めており、確かに美味しいうどんは食べられるのだけど、関東に比べると気軽にふらっと入れる立ち食いそば屋さんが少ないことについては常々寂しく感じていたものである。
 関東に再び居を移してからというもの、ランチと言えばそば屋ばかり利用している。富士そばの紅ショウガ鶏天丼も実にジャンクな味わいで美味しいではないの。これこれ…この濃い甘辛味付けと安価で適当にかき込める感じ、いち関東出身者としては愛着を覚える所以である。
 
 コロナ状況も最悪の時期を脱して徐々に和らいできているとともに、外食産業も活況を取り戻しつつあるようだ。自転車に乗ってご近所のお店巡りにも精が出るというものである。
 
 
 御茶ノ水で中古レコードなぞを掘りに出かけがてら、久しぶりに御茶ノ水が誇る名店エチオピアのカレーを頂いたり。エチオピアと言えば0~70辛からお好みの辛さを選択できるシステムでおなじみだが、自分などは3~5辛くらいが何とか美味しく頂ける辛さなのだった。というわけでこの日はチキンカレーの3辛を所望、沁み渡ったね。壁にはJBとMarvin Gayeに挟まれてNirvanaの『Nevermind Sessions』LP(ブ―ト?)。
 

 
 去る9月には、原宿のKit Galleryで開催されていたTim Kerr画展『POWER TO THE PEOPLE -YOUR NAME HERE』に仕事帰りに寄っていた。
 
 
 Tim Kerrが80年代にメンバーの一員としてギターをかき鳴らしていたBig Boysと言えば、自分もかつて胸を焦がした大好きなテキサス産スケート・パンクバンドである。
 シンプルでカラフルなイラスト作品には、T. Kerrのオープン&ポジティブがあふれていたし、Gil scott-heron、Sun Ra、Curtis MayfieldNina Simoneなど彼のジャズ・ファンクへのリスペクトを改めて確認できた。はたまたその中にあってDaniel Higgs(Lungfish)の顔を見つけられたりもして。
 

 

 
 会場内では、何とTim Kerr自らがギターを演奏する、アコースティックユニット=Up Around the Sunのライブが披露された。シンプルで親密な彼らの音楽は、再び都会に舞い戻って…何となく拠り所拠り所のない自分の気持ちをしばしふわっと軽くしてくれた。まさかT. Kerrの現在をこうして生で聴けるとは思わなかった。
 

 

T:ただ楽しめばいい。やりたいことをやれ。みんな自分を表現するべきだ。自分なりのやり方で、人のマネをせず絵を描き、誰のマネもせずに滑ればいい。自分のやり方でいい。それで楽しいと思えればいいんだよ。笑顔になれたら最高じゃないか。

 

 

 というわけで久しぶりにBig Boys『Wreck Collection』(2002年)を。
 

 

 テキサス州オースティンのBig Boysの活動期は1979~1984年のわずか5年間だけだったようで。『Wreck Collection』は活動終了後の88年にリリースされたシングルやライブ音源の編集盤であり、自分の手元にあるのは、Gern Blandstenから突如として2002年にリイシューされた2LPだ。
 軽みをもってカラっと疾走するスケートパンクは、独特のユーモアや歪つさが感じられて愛さずにはいられない。ホーンアレンジやギターカッティング多用のファンキーなナンバーもまた彼ら独自の大きな魅力である。
 
 今でこそ、個人的にはオンタイムである90'sの某RHCPとかRancidとか…自由なオルタナティヴ&コアハードコアシーンの萌芽はありえなかったんじゃないかしら? なんて。
 
・Big Boys - Funk Off

 

People always getting stopped for stepping out of bounds
Don't give up just get back in and go another round
Don't give them what they expect, keep them on their toes
There's many things that we can do, here we go

 
 かつてそれ以前には1993年にTouch And Goよりリリースの『The Fat Elvis』と『The Skinny Elvis』の2枚の編集盤CDをこよなく愛聴していたものである。
 
 
 彼らのレコードやフライヤーには、彼らメンバー自身の手によるイラストやコラージュアートが施されており、これがまた愛くるしくて大好きであった。
 当時のアメリカ郊外のDIYスケートカルチャーの匂いもプンプン匂ってくるようである。
 

 
 Tim Kerrのアートも正にそんな渦中から生まれたのだろう。Big Boysの音楽、特にTimm Kerrのギターにはファンクのルーツも色濃く、そこがひと際異才を放っており、重複するけど、今回の画展でも改めて彼のジャズ・ファンク愛がひしひしと感じられ嬉しくなったものである。

 

 ありがたいことに関東でもぽつぽつライブのお誘いを頂きつつある。関東は12/2には益子のとある民家で初シンセソロ、12/16に阿佐ヶ谷ハーネスでソロ、1/13に横浜日ノ出町試聴室その3でソロが決まっている。関西ではバンドで1/5に喫茶ゆすらご、1/7に音凪酒場で、こちらはレコ発も兼ねて、ということになりそうである。
 バンドでの新作も無事リリースに漕ぎ着けられたことやし、すっかりコロナで重たくなってしまった腰もそろそろ上げたいところだ。ぼちぼち新しい曲も作りたいしね。