Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Why Is It So Hard

 
 しばし梅雨の晴れ間が続いていたようで、外をぶらっと歩いているだけで幾分か調子が良かった。仕事の休憩中にアイスを買い食いして公園で食したりもして。もう大分蚊が湧いてきており…早々に退散した。
 一方自宅の台所においても、少しでも生ゴミを溜めようものなら…どこからともなく即コバエが湧いてくる時期の到来で、全く油断できない季節である。
 
 月曜日は仕事明けにアコースティック・ギターを背にYouTubeラジオの生放送出演にと、ネガポジにお邪魔してきた。
 今までこうした放送にはとんと無縁であったせいか、いかような心構えで臨めばよいのか終始手探りとなったこともあり、さぞかしお聞き苦しい点もあったことだろうと思う。
 MCの秀右氏とアシスタント桃鉄氏の進行のおかげ様で、個人的には終始和やかな雰囲気の中で、お酒を片手に楽しくおしゃべりさせて頂けた。欲を言えば、これを機にもう少し突っ込んで話したかったこともあったけど、入り口くらいのお話も十分にできなかった。終わってみれば大体そんなものなのだろう。アコースティック・ギターを久しぶりに弾いてみたけど、改めていい音が鳴るギターだな、としみじみ思ったりも。もっと弾いてあげないと勿体ないね。
 放送を見て頂いた皆様、番組宛にお便りやコメントを頂けてた方の存在あってこそである。この場を借りて貴重な機会を頂けて誠にありがとうございました。
 当面は下記アーカイブにて視聴可能なようである。

・ネガポジラジオ配信ライブ【赤ちょうちん】#156 ゲスト:竹下慶(MOON FACE BOYS)

 

 職場のお客さんより、ご自宅の農家で採れたてのお裾分けということで、何とも立派なニンニクを頂いた。粒も大きくてホクホクで甘みがあって何とも美味しく頂いたのだった。薬味として生姜と一緒にカツオにオンしたり、お肉や旬のお野菜と一緒に炒めたりするなど。
 自宅で農家を営んでいる、とはたまに聞く話だけど、これまでの自分の人生と全く縁遠くて想像することもままならず、何とも羨望の思いを馳せてしまう。
 

 
 Charles Bradley Feat. The Sounds Of Menahan Street Band『No Time For Dreaming』(2011年)を。
 62歳の遅咲きでDaptone Recordsからリリースされたデビュー作。それからわずか6年後には癌により68歳で亡くなっている。
 

 
 個人的には海外ドラマ『Suits』放映時にハマっていた折に同ドラマの挿入歌として流れてきて、そのあまりに印象的なボーカルを耳にしたのが最初の出会いであった。しゃくり上げるようなエモーショナルなボーカルに何ともグッときてしまい、思わず某Shazamを使って調べたことを覚えている。確かガブリエル・マクト演じるハーヴィー・スペクターがオフィスでひとりブランデー・グラスを片手に物思いに耽るようなシーンだったような(彼はオフィス自室で夜な夜なレコード・コレクションを嗜む習性がある)。
 

 
 Menahan Street Bandの好サポートの影響もあり、何とも年代不詳のコクのあるヴィンテージ・ソウルを聴かせてくれる。このデビュー作でもすでに老練にして燻し銀のブルージーな熱っぽい歌がじっくり味わえる。奇しくもレーベルメイトであるLee Fields同様、ポストJBなファンキーさも彷彿させる。
 
・Charles Bradley - The World (Is Going Up In Flames)

 
・Charles Bradley - Why Is It So Hard (Live on KEXP)

 

Why is it so hard to make it in America?
A land of milk and honey, a land supposed to be built with love
It takes love and understanding to live and let live
I was born and raised in Florida
I traveled far and wide 

 
 大好きな曲の多いこのアルバムではあるが、中でもお気に入りのナンバー「Why Is It So Hard」。長年成功とは無縁だった不遇の人生を振り返っては、かの地アメリカでの成功までの険しい道をブルージーに憂いている
 クレジットを拝見する限りにおいては、この映像は2011年のテキサス州オースティンはSXSWでの自車屋さんでのライブ映像と思われる。汗にまみれて顔をくしゃくしゃにして歌い上げるC. Bradleyのエネルギッシュな歌には否応にも胸が熱くなってしまう。先述Thomas Brenneckのクールなギター・プレイも堪能できる。
 
 かような才能が長きに渡って寡作のうちに地下に埋もれていたとは不遇というより他ないが、時間をかけてようやく産み落とされた大河の一滴のような味わいの芳醇さもまた何とも言えないものがある。
 Daptone Recordsのプロダクション及びMenahan Street Bandのバッキングもまた改めて、Charles Bradley の素晴らしい音楽に絶妙に寄り添っては華を添えて(くれて)いるようにも思える。
 
 何とBlack Sabbathのナイス・カバーなんて変わり種もあり。サバスきってのミッド・フォーキーなナンバーにC. Bradleyの滋味あるヴォーカルがハマっている。
 2012年にはドキュメンタリー映画『Charles Bradley: Soul of America』(パウル・ブライエン監督)の制作されたようであいにく未見につき、もしチャンスがあれば是非とも見てみたいものである。

・Charles Bradley - Changes


 あな金曜日…なかなかままならないグルーミーな梅雨シーズンはもうしばらく続きますが、皆様におかれましては、どうかホットな週末のひと時をお過ごし下さい。

Nothing More To Say

 

 なるべく寛容な社会が暮らしやすいと思うけど、それを実現するためには、まずお互いに対する「思いやり」こそが不可欠だと思う今日この頃。それには柔軟な想像力と多少の心の余裕が必要である、決して頑なな姿勢ではいけない…筈だけど。
 相変わらずどんよりとした曇天の下、低空飛行気味である。
 
 先週末はショウゾウ氏にお誘い頂いて大粒の泪でライブ演奏を敢行した。
 ライブをさせて頂くのは初めてだったのだけど、お店に常設されているオーナー佐藤氏によるアンプのコレクションが独自セレクトであり、大変興味深かった。
 個人的にも自宅で愛用、度々ライブにも持ち出している信頼の国産ブランド=Acetoneのアンプを目ざとく見つけてはFenderのリバーヴ・ユニットを乗せて頂いて。音響がツぃ~んといつになく好みで気持ち良く、自然演奏にも熱がこもったのだった。
 
 
 ex.ウンラヌのショウゾウ氏と柏木辿氏(お店の内装画及び今宵の催しのフライヤー画の作者でもある)による息の合ったサイケ・ロックも俄然ぐっとくるものがあったし、ZIN氏(ex. プリッツ)とKEI氏による2ピースも渋くて胸が高鳴った。
 特に事前の打ち合わせはなかったのだが、結果的には(自分達含めて)出演者全員から二プリッツのカバーが披露されて、今年3月に惜しくも逝去された燻裕理ことヒロシNA氏への追悼集会のような形になった。
 

 
 一般的なリハーサルスタジオやライブハウスでは、通常ジャズコーラスとマーシャルが常設されていることがあまりに多いため、その場合自分はジャズコーラスを選択することが多いのだが、実は個人的に好みのアンプではない。かような独自セレクションのアンプを常設しているだけで一目置いてしまう。大粒の泪は改めて、オーナーご夫妻のナイスなご趣味があちらこちらに伺えるナイスなスペースである(日中は「EVE」という名で古着屋営業をされている)。
 来たる8月26日にはソロ・ライブ予定も決まっており、今から楽しみである。
 

 

 ご機嫌なあまり、ついZIN氏と肩組んでしまった写真が出てきたりして…ハラハラしてしまうよ。優しい方で良かった、全く。

 開演前は、メンバーお揃いで久しぶりに喫茶ゆすらごにも伺えた。お正月から借りっぱなしになっていた漫画もようやく読み終わったものを返却できた。
 久しぶりにフムフムを囲んでしばし穏やかな時間が流れたのは良かったけど、うっかりかき氷をオーダーし忘れてしまったのだった。
 
 
 『華麗なるリベンジ』(2016年)、『別れる決心』(2022年)を見た。『華麗なるリベンジ』はファン・ジョンミン主演の収監もので、否応にも期待してしまっていたが、なかなか楽しめた。
 例によってよくお見かけするあんな顔、こんな顔の常連バイプレイヤーズ等が大挙して出演しており、それだけでも士気が上がるというものであるが、中でも『ミセン』でオ課長を好演していたイ・ソンミンがヒールを演じており、悪役ぶりにもなかなか趣きがあった。証人喚問に向かう道すがら刺されてしまうファン・ジョンミンが法廷に現れる際の歓喜たるや…もはやお約束だろうが、やはりこちらも心中スタンディング・オベーションである。
 

 
 ところで韓国映画においては、何故かジャージャー麺を食べるシーンが頻出であるが、ファン・ジョンミンの食し方もまた何とも豪快で、大いに食欲をそそられたのだった。あの真っ黒な色のぐちゃぐちゃしたソース? をまとった太麺を一気に啜り込むという…韓国に遊びに行ったら是非とも食してみたいものである。
 

 
 『別れる決心』は、いわゆるパク・チャヌク監督節というか…独自の視点や美学あふれる映像でもって、古典的な禁断の愛をテーマに、かくもミステリアスで魅力的な作品へと仕上げており楽しめたのだった。現実と想像が交錯していくイマジナティブな世界観に途中からちょっと集中力を欠いてしまって…後半は若干ながら見になってしまった。
 
 2匹入りの鯖のみりん干しが安かったので連日頂いてみる。片やフライパンで焼いたものは焦げを含めて香ばしくて美味しい。一方レンジ仕上げのものは脂が落ちてない分身がふっくらしてジューシーであり…どちらも良さがありなかなかどちらも捨て難しなのだった。
 
 
 自宅に白米を常備しなくなって以来、しばらくご無沙汰だった明太子も召喚…オー米にオンして久しぶりに頂いてみたけど、こりゃやっぱり美味しい。改めて国民食認定である。
 
 The Frightnrs『Nothing More To Say』(2016年)でも。

 こりゃ絶妙にええ塩梅の現行ロックステディ作で、今年になって入手してからというもの初夏にかけて愛聴している。

 


 ボーカルの Dan Kleinがこのアルバム完成直後の2016年にすでに急逝されているそうで、(昨年生前に吹き込まれた作品がかろうじてリリースされたものの)もはや新作が望めないのは残念なことである。
 Charles BradleyにThee Sacred Souls、The Sha La DasやNaomi Shelton…等々、個人的にDaptone Recordsのリリースによってこれまで出会ったアーティストの愛聴盤は少なくなかった。実に渋くて良質なソウル、R&Bをリリースを続ける信頼すべきレーベルであり、このFrightnrsもまた新たにお気に入りに加わったのだった。
 

 

 本作『Nothing More To Say』もまた佳曲揃いで、シンプルで潔い演奏とナチュラルな録音がアナログ・フォーマットにもよくマッチしており、今どきクラシックな…好みな音響である。
 MVからも窺えるように、NYのバンドでありながらこの簡潔さと緩さは貴重であり、同時にチカーノにも直結する都市のカルチャー臭もしてくる。
 
・The Frightnrs - Nothing More To Say

 

Nothing more to say
You always get your way
I don't want to fight
I'll be gone before tonight
 
・The Frightnrs - At Daptone, Live Recordiing made on 25/6/2015

 

 
 MVにも出てくるDaptone Recordsのスタジオでのレコーディング風景と思われる映像。紅いHarmonyを手にしているのは、界隈のバンドでもよくお見かけするThomas Brenneck(El Michels Affair, Menahan Street Band, The Budos Band, The Expressions etc...)のお姿だろうか?
 
・The Frightnrs - Sharon (Live @ Rockaway Beach 2012)

 
 シビれるね…。
 こういうバンドが、ローカルにおけるスモール・パーティを賑わせていただろうコロナ禍前夜のNYの街の風景は、やはり憧れるものがある。
 


 わわ、金曜日?
 各々のパーティを楽しんで下さい。

Carry-Go-Bring-Come 

 

 梅雨空続きでただでさえ気が滅入ってくる。
 入管法改悪案の強行採決マイナンバーカードにまつわる相次ぐトラブル…国民に対してゴリ押しで不便さと不自由ばかり強いてくる為政者とは? そしてそれら状況をよしとして、ますます自分の首を絞めるべく健気に票を投じ続ける大多数の有権者とは一体?
 
 1ヶ月ほど前に急遽、職場に新しい人員が追加されることになったのだが、まぁ考え方や価値観といったものが合わない方なのである(どちらかと言えば苦手なタイプ…)。決して悪い方ではないのだが、もしかしてこれがいわゆる「京都人一流の嫌味」? みたいなのもピリッと端々に嗅ぎ取ったりもして。
 幸か不幸かお互いの担当も異なるため業務上の関わりはなく、その点は気が楽なのだが、仕事上のコミュニケーションを通して芽生える類の信頼関係もなかなか根付きにくく、距離感を計りかねている。
 しかも自分より5歳ほど年上の女性ということもあってか、何かと気も遣ったりで気疲れでもしていたせいだろうか? 先週突然仕事が終わって家に帰り着くや、手足から局部、腹など我が全身にかけて蕁麻疹がびっしり大量発生して思わず動揺してしまった。これまで蕁麻疹など出来たことがなかったし、当初は虫さされでもこじらせたのかと考えていたのだけど…翌朝病院で診察を受けたところ、目視と触診によると「ストレス性の蕁麻疹」が疑わしいとの即決診断であった。
 早速帰りに処方箋を入手して処方したところ、幸いその日の夕方頃には大分腫れや痒みも引いてきて、一晩寝たらほぼほぼキレイさっぱり消え去っていたのだった。人体ってつくづく不可思議である。
 職場で合わない人とは、無理やり合わせようとしないことと見つけたり。お互いいい大人であるし、ましてや友達関係でもあるまいしね。
 まだ相手のことがよく理解できていない段階では必要以上に警戒してしまうものである。そもそもこれまでの人生では、逆に人間関係に恵まれ続けて、いかにのびのび生かされてきたことか、ということかもしれない
 たとえ属性の異なる動物たちも、寛大な心でもってお互いの異なる習性を尊重し合わなければいけませんね…とは頭で理解しているつもりの私である。
 …というわけで現時点では、ほどよい「距離感(ディスタンス)」を計測中なのであった。
 
 先週末はバンドのリハに入ったり、友人のライブを観覧して過ごした。いずれのライブも大いに刺激される内容で、改めて自分も自分の新しい音楽にトライしたくなったのだった。
 

 
 バンドメンバーや久しぶりに再会した音楽を取り巻く友人たちと談笑したり、真面目に顔を突き合わせたりしながら、おかげ様で良き気分転換になったようで。
 ご機嫌でうっかり酒量が増えてしまった…なんて。ネガティブな時のお酒ほど、ふっとネガティブがよりブーストされがちな時もあるので、足元すくわれないように気を付けなくちゃね。
 このままアフター・コロナという流れに無事に乗れるのか…自分の周りでもここ最近というもの、つとに催しが増えてきて大変喜ばしいことではある。…けど逆に現実感が希薄で漠然とした不安感もあったりして。一方では、実のところもう少し巣ごもりしてたい自分もいたりして。
 
 最近ついに自宅で揚げ物に手を出してみたりして。常々スーパーで冷凍の白身魚とエビフライをよく目にしていたので気になってはいたのだが、いざ踏み切ってみると少なめ油でもカラッと美味しく揚がることが分かった。ひとえに製品のクオリイティが高いのだろう。揚げたてサクサクの衣とジューシーな魚介具材が、初夏の芋焼酎の水割りによく合うことと言ったら。
 がしかしウスターソースやマヨネーズのトッピング技術には今後大いに改善の余地を残した(お目汚しでゴメンなさい)。
 ところで、ここのところ我が家のガスコンロの調子が悪いようで、強火から→中弱火に変えることができなくなってしまい、不便を感じつつも騙し騙し使用しているのだった。そもそも現在の物件入居時に中古購入したものであったが、電池を変えたりすれば多少マシになったりするものだろうか?
 

 
 先週土曜朝の「ウィークエンド・サンシャイン」はTina Turnerの追悼特集がかかった。P.バラカン氏の当時英国住まいで、米国では今ひとつぱっとしなかった『River Deep-Mountain High』が、一方英国では大ヒットで毎日かかってた話とか、それがきっかけでRolling Stonesの前座が決まったりしていく話とかとか。エンディングはAl Greenのクラシック「Let's Stay Together」のカバーがかかった。 
 ちょっと前だけど、Wayne Shorter特集も聞き応えがあったな。氏の独自視点が感じられて良い。もはやコロナ禍をまたぐこの数年は土曜朝の定番的お楽しみメニューである。
 
 The Skatalites『Plus』(1969年)と『The Birth Of Ska』(1964年)を。
 『Plus』はオリジナル『The Skatalite』(1969年)の後年リイシュー作(と思われる)、『The Birth Of Ska』も元々のオリジナルはTreasure Isle Recordsからリリースのコンピの英Trojanからの再発盤で、後年1989年リイシュー作(と思われる)で、いずれも数年前にほんとレコードで中古盤を試聴してひと目惚れにて入手した盤だ。
 最高の時代の最高の面々による適温のスカ・ロックステディの綴れ織りを前に、ただただため息も枯れてしまうというものである。トロンボーン、トランペット、サックス…乾いた三管のアンサンブルの妙が心憎すぎる。
 

 

 リリース元のTreasure Isleは、その名の通り「宝島」そのもので、改めてリリース・タイトルも全部掘り出したくなるような魅力を宿している。
 何でもDuke Reid自身が元々キングストンで営んでいた「Treasure Isle Liquor Store」なるリカー・ショップに端を発したレーベルで、独自のナイスなサウンド・システムも有していたそうである。
 当時の空気をふんだんに吸い込んだローファイな録音もひたすら好みであるし、肝心の演奏もなかなかこの緩さとシャープさのバランスの妙は再現のしようがない領域である。
 
・The Skatalites - Carry-Go-Bring-Come 


It's better to seek a home in Mount Zion high
Instead of keeping oppression upon innocent man
Time will tell on you, you old Jezebel
How long shall the wicked reign over my people?
How long shall the wicked reign over my people?

 自分の肌に合うのはむしろゆったりした66~年産ロックステディかと思っていたのだが、ここ最近ラジオでTerry Hallの追悼特集を耳にしてからというもの、すっかりTerry HallやThe Specials(及び2 Tone Records関連)の作品を愛聴するようになってしまい、そんな流れもあって改めてアーリー60's Skaもここ最近よく聴くようになりつつある。
 この時期の音源はシングル盤でしかリリースされなかった作品も多いため、20年ほど前と違って例えばTrojan Recordsが編纂した便利なCD Box等ですらわざわざ揃えなくとも、現代であればサブスク等で手軽に楽しめたりするのだろうか? 思わず自分だけのお宝=1曲探しの旅にも出たくなるというものである。
 

 
 余談ではあるが、自分の世代で「Ska」と言うと、それこそ十代はOperation IvyとかSublimeなんかの「スカコア」なるパンクHCの流れを汲む音楽が支持されていて多分に漏れずCDを買ってたけど、何ならついでにその辺りのバンドまで久しぶりに聴き直したい気分である。
 
 色々とままならないこともあるけど、かけているだけでこの梅雨時期の鬱陶しさがぱっと晴れるような、Skatalitesの音楽の大らかさは改めて偉大である(かと思えばレゲエにおける歌詞って辛辣な体制批判だったりする点もクールで、パンクとの親和性が深い由縁でもあるのだろう)。
 
・The Skatalites - Eastern Standard Time

 

 金曜日のようで。
 相手に対してお互い敬意を払って、どうか平和なひと時を過ごしましょう。
 全人類恒久の課題である。
 

River Deep-Mountain High

 
 今週から近畿地方も早々と梅雨入りしたのだそうで、本日は束の間の晴れ間である。洗濯物を早めに取り込んでしまおう。
 
 先週末はのん氏にお誘い頂いて、民博こと国立民族学博物館で現在開催中の「ラテンアメリカの民衆芸術」特別展へ出かけてきた。まっつん氏も帯同してドリカム編成にていざ。
 

 
 久しぶりに訪れた万博記念公園は晴天の下、初夏の熱気を帯びていた。園内で開催中の催し諸々も重なったようで結構な人手であった。がしかしただでさえ広大な敷地の中、ひとたび民博に入ってしまえば圧迫感はほとんど感じることなく、クーラーのきいた涼しい館内でゆっくりと展示を堪能することが叶った。
 誘われるままに予備知識なく何となしに足を踏み入れたのだったがいやはや南米より取り寄せた新旧珍品お宝の物量たるや生半可でなく…館内はジャングルのような様相を呈していた。
 

 

 名も知れぬ市井の作家たちによって命を吹き込まれた1品1品の放つエネルギーのアッパーで強烈なことと言ったら…何か名状し難いポジティブなヴァイブスを頂いた気もするけど、昼前から乗り付けてたっぷり3時間ほどかけて鑑賞し終わる頃には、すでにぐったりしていたのだった。
 
 
 メキシコ辺りのアートのプリミティブさとか、例えばJad Fairの作品なんかへの影響を感じたりもして。
 
 そのフォルムといい、色合いといい、風合いといい…何とも目が離せない愛嬌あるコレクションの数々にすっかり魅了されてしまった中年3名なのだった。
 館内でランチ休憩をとってから、さてここまで来たからには常設展も見ていこうとなったわけだが、常設展の質量がこれまたエグくてですね…とてもじゃないけど全編ちゃんとは見切れなかった。
 
 
 特別展ですでに大いに満足していたので、常設展はついでに「流し見」するくらいのモチベーションで臨んだのだが、これがまた広大な敷地内に所狭しと世界の名品珍品が並べられており。さらっと周るのでも何だかんだで気が付けば2時間くらいが経過していた。だんだん自分が今どこにいて何を見ているのか境界が分からなくなってくるような不思議体験であり、久しぶりに訪れたけどこんなに広大なスペースだったとは改めて知ることとなった次第である。
 
 太陽の塔にも会うことができるし、入場料金も良心的である。是非ともまた時間を見つけて何度でも再訪したい稀有なスポットである。
 

 
 ナスが安くて重宝している。
 キノコ3種(エノキ、舞茸、シメジ)をごま油と白だしを加えてチンした簡単ヒットであった。鶏肉と野菜を炒めてガラスープ素と醤油で煮たのも2日目は特に味がしゅんでおり。
 何でも煮物ってば、温度が下がる過程で水分を蒸発させる代わりに、お出汁の旨味を具材が吸い込むらしいね。

 

 
 Ike & Tina Turner『River Deep-Mountain High』(1966年)をば。
 Tina Turnerまでも鬼籍に入られてしまった。晩年はスイスで静かに隠居生活を送っていたそうだが、近年は複数の持病も抱えていたようである。享年83歳とのことで合掌。
 

 
 Tina Turnerの遺した名作は数あれど…先述Brian Wilsonからの流れ(Phil Spectorの大ファンとの由)もあってか、昨夜から何となくこちらの作品を聴き返していた。
 Phil Spectorが直々にIke & Tinaにプロデュースを申し出た作品と言われているが、改めて何とも不思議なバランスのアルバムである。
 
・Ike & Tina Turner - River Deep Mountain High

 
But only now my love has grown
And it gets stronger, in every way
And it gets deeper, let me say
And it gets higher, day by day
 
 Phil Spectorによるプロデュースは「River Deep-Mountain High」、「A Love Like Yours」、「I'll Never Need More Than This」、「Save the Last Dance for Me」、「Every Day I Have to Cry」の5曲にとどまり、残りは Ike Turnerのセルフ・プロデュースによる往年のレパートリーのリメイク・ナンバーが挟まれるという無茶な構造となっている。
 一丁それと判るPhil Spectorの息のかかったウォール・オブ・サウンドと、自身によるよりプリミティブなテイクとのコントラストに当初戸惑いつつも、意外や慣れるとこのつぎはぎ感の不思議なバランスも癖になってくる、自分の場合。
 ウォール・オブ・サウンドの分厚いエコーの向こうに霞んでしまった(だろう)Ike Turner持ち前のシャープなギターワークも聴きたくなるのが、人情というものであるからして。一方Tina Turnerの堂々たる歌唱は、煌びやかなウォール・オブ・サウンドにも負けないどころか双方煌びやかに引き立て合っており大変相性がよいように思える。
 Tina Turnerの突き抜け感のあるボーカルってば、聴いてるうちに不思議と体の奥から沸々と活力が湧いてくるから不思議である。
 

 
 60年代のIke & Tina Sue Recordsからのリリースもカッコいいし、一方この辺りの時期のソロ・キャリアもお気に入りである。こんなにエネルギッシュなシンガーってそうそういない…R.I.P.
 

【RADIO】竹下慶(MOON FACE BOYS)2023年6月19日(月)on YouTube

 

ラジオ配信ライブ【赤ちょうちん】 
#156 ゲスト:竹下慶(MOON FACE BOYS)  
 
6月19日(月) on YouTube(↓)

Start 20:00 〜

 
※この度ネガポジ秀右店長のYouTubeラジオにお呼ばれいたしました。音楽を始めたきっかけや四方山話、ソロライブなどを予定してます。
 
 初めてのラジオにつき心細いのでリスナーからの励ましのお便り(コメント)歓迎いたします。ラジオネームを添えて、質問、トークテーマ、応援メッセージ、無茶振り等  何でも歓迎だそうです。宛先はnegaposi.saiin@gmail.comまで。

 



【LIVE】MOON FACE BOYS 2023年7月9日(日)@bar txalaparta(徳島)

 
ヒルコ企画ダークマターvol.2」
7月9日(日) 
@bar txalaparta(徳島)
 
・MOON FACE BOYS(京都)
ザキヤマヘイコー
・ムーンサイドホテル
ヒル
 
Open / Strat 14:30 / 15:00
¥1500 + 1ドリンク
 
京都ネガポジのライブを観てくれたヒルコさんにお声がけ頂いて、この度はるばる徳島へとお呼ばれいたしました。ヒルコさんにはまだ直にお会いしたことはなくて、バンドの音楽を聴くのも今回が初めて。地元のバンドが聴けるの今から楽しみです。
こういう出会いこそは全くバンド冥利に尽きるし、大変光栄なことです。折角のありがたい機会なので、少しでも満足のいく演奏が出来るよう磨いて参りたい所存です。
 
 

Long Promised Road

 
 新緑が目に眩しいシーズンカムズである。
 過ごしやすい快適な気候は結構なのだが、木陰で気持ちよくチルアウトでもしようものなら、どこからともなくやって来た蚊の大群に立ちどころに包囲×蜂の巣にされる季節になりつつある。
 京都の街なかはいよいよ賑やかで国際色豊かな様相を呈しているようで、心なしか街全体が戸惑いつつもオープンな空気感である。
 このまま永遠に続くかに思われた先の見えないコロナ禍も徐々に影を潜めて、こうしてまた京都の街にも活気が戻ってきたのは何よりだ。引き続き注意は必要だろうけど、今や感染予防がもはや習慣化しているとも言えよう。
 
 先日土曜日は雨のそぼ降る中、駅前の某サイゼリヤに半日がかりで籠城してひとり作業に没頭していた(当初向かった五条南の店舗はいつの間にやら閉店しておりショックである…)。
 日も暮れてまずまずの成果に満足しながら、家へと帰り着いたところ作業のお供にと自宅から持ち出した5〜6枚ほどCDが入った袋が忽然と消えていた。
 お店に電話するもそういった落とし物は届いていないとのつれない返答…全くもってショックである。
 まぁ例によって作業の傍らで、デカンタワインをくいくい調子良く頂いていたわけですけども(気が付けば上機嫌で対面の親子と一緒にボードゲームに興じていた)。
 

 
 どなたか西院駅付近で、私のあぶらだこ諸作のCDを見かけた方はいらっしゃいませんか?
 
 全く自業自得とはいえ、思い入れのある喪失感が大きいのだった。
 CDの代わりに持ち帰った戦利品(どうやら帰りしに買って帰ったらしい)は、今となっては特段食べたくもないアイスやカップ麺、ビール数本など。ひとり酒でよくぞここまで酔い果てたものである、反省しきり。
 
 …などとすっかり失意に暮れていたところ、先週末の明るい時間にふとCD棚を見やると何と先般ロストしたはずの件のあぶらだこのCDたちがいつの間にやら棚に戻っているではないの? これどういうこと?(ただただ数日前の自分に呆れるばかり)
 いつの間にお戻りに…とにかく無事手元に戻って何よりである。
 

 

 麻婆豆腐風のサムシングにトマト味噌スープ風?、サーモンのカルパッチョ風…と相変わらずレシピも見ずに毎度行き当たりばったりにつき、ブラックボックスで名もなきサムシングを生み落としては頂くのが常である。
 土井善晴先生の「おみそ汁には何を入れてもいいのです。新しい味覚、触覚、視覚が楽しめます」の精神を鵜呑みにしている節あり。
 

 
 自宅にて『NOPE』(2022年)、『ブライアン・ウィルソン-約束の旅路』(2021年)と『ケイコ 目を澄ませて』(2022年)を。
 劇場公開時より気になっていた3作品がアマプラにやってきていた。
 
 『NOPE』は、怪作『ゲット・アウト』の監督ジョーダン・ピールによる最新作なので期待していたが、いやまたしても独自の切り口がいかんなく気持ち悪い作品で個人的には大いに楽しんだ。
 ハリウッド郊外のポカンと広大に広がる闇の果てしない深さが視覚化されているというのか、掻き立てられる不安感が何とも心地良い。じわじわと迫り来る緊迫感に対して、いざUFOが登場した際の拍子抜けするようなフォルムや動きの描写には思わず笑ってしまった。わざわざ世紀の一瞬の撮影のために命の危険を犯す辺りの滑稽さも現代的というか、ある種の風刺なのだろうか?
 不思議な角度から差し込まれるような馬鹿馬鹿しさが大いに楽しめた。ちなみに主人公の妹がJesus lizardのTシャツ、電器屋の兄ちゃんがEarthのTシャツを着てたり(しかも似合ってる)等のポイントも個人的に琴線に触れた。
 
 『ブライアン・ウィルソン約束の旅路』。こうして出会ってから25年以上聴き続けても全く飽きがこない…どころか聴き直す時々でますますトキめいてしまうのがBeach Boysの遺した美しくもストレンジな楽曲たちである。
 それらの創造の源となったブライアン・ウィルソンという偉大なる音楽家の、未だ無垢な少年がそのまま側だけ老いたかのような、純粋で飾り気ないキャラクターが改めて稀少な才能を際立たせる。
 ポルシェのドライブの助手席でBeach Boysのナンバーあれこれをかけながら行われるインタビュー映像が作品の主軸となっている。取り立てて新しいエピソードはなさそうだったが、単純にリラックスしたブライアンの飾り気ない語り口に触れられるだけでも感激してしまうというものである。ツアーを楽しみに嬉しそうに生き生き演奏する姿も嬉しいではないの。つくづく2005年のSmile完成時のツアーは足を運びたかったなや…と改めて今さら悔やまれる。
 
 
 今もって変わらないデニスとカールに対するミュージシャンとしてのリスペクトや兄弟愛の深さも伝わってきてぐっときた。ただしブライアンがデニスのソロ名作を未だ未聴であったという事実には少なからず驚いたけど。気を許した(だろう)元ローリング・ストーン誌の編集者邸でデニスの遺作に初めて触れて、目を細めて嬉しそうに聴き入る姿は、貴重な瞬間を捉えた映像記録だろう。
 テーマとして繰り返しリフレインしてかかる「Long Promised Road」の素晴らしさに改めてぐっとくる。
 あくまでも幼少期から青年期にかけてのウィルソン兄弟との関係性にまつわるエピソードがメインであり、マイク・ラヴやブルース・ジョンストン、アル・ジャーディン…等他メンバーについてはほとんど触れられておらず…その辺りは時間が経っても不仲ぶりは相変わらずなのだろうか?
 
 『ケイコ 目を澄ませて』(2022年)もとても良かった。
 不器用ながらもひたむきな主人公を岸井ゆきの氏が好演していた。ボクシングというテーマ柄ありがちな…恋愛や友情、スポ根等はおろか、劇中音楽すらも一切排しての(あえて)「無音」に徹した作品であることがよく伝わって来て、その辺りに強い好感が持てた。
 淡々と流れる街の風景やノイズをバックに縦書きのエンドロールが差し込まれる頃には独特の清々しさが残ったのだった。
 ああ久しぶりにゆっくりと映画に浸れた気がして嬉しい休日であった。
 
 Beach Boys『Surf's Up』(1971年)でも久しぶりに。
 Beach Boysの作品群の中にあってとりわけスロー&ミッドなナンバーばかりが並ぶこのアルバムが大好きでして。ひとつの時代の節目を感じさせるような厭世的な異色作でありながらも、相変わらずサウンドや声がひとつに重なり合っては極上のハーモニーを聴かせてくれて、バンドの表現力はここに極まった感すらある終末的作品である。
 

 
 らしくない陰りあるジャケットのセンスも当初初めて手にした際には違和感を感じた。…今となってはむしろその「違和感」はよりこの作品をより特別なものに推し上げているのだが。彫刻家ジェームズ・アール・フレーザーによるネイティブ・アメリカンをモチーフにした「エンド・オブ・ザ・トレイル(旅路の果て)」という米国ではポピュラーな作品をモチーフにしたようである。
 
・Beach Boys - Surf's Up

 

 アルバム中ラストを飾る表題曲「Surf's Up」は、当初本アルバムに収録予定はなかったが、当時マネージャーのJack Rieleyの強い進言で収録にされたとのことである。未完の凍結状態であった曲が、今回の収録に際してCarl Wilsonのボーカル入れによって完成に至った、というエピソードをどこかで読んだことがある。
 『Smile』製作期におけるVan Dyke Parksとの共作であり、その魔法がかかったような素晴らしい邂逅の結晶の一端を堪能できる。言わずもがな幻の未完作『Smile』からこぼれた1曲であるが、当時『Smile』収録予定であったナンバーの数々はいずれ劣らぬ名曲であることを考えると、かくいう自分ももし当時『Smile』が完成して日の目を見ていたら…などと21世紀になっても惜しんでやまないひとりである。こんな曲が書けたら…こんな美しいコーラス・ハーモニーがキメられたら、なんて思わず目を細めてしまうのが、この時期までのBeach Boysのマジカルな一体感であるように思う(あいにく初期のようなヒットに結びつかないないのがちょうどこの時期でもあるのだが)。
 
 ちなみに本作『Surf's Up』にDennis Wilsonのクレジットはない。折しもモンテ・ヘルマン監督による名作「断絶」の撮影中であったり、自身のソロ作制作期と重なったためだそうである。もしDennisも製作に参加していたらアルバムもまた違う局面を迎えていたのだろう。それどころか『Smile』の頓挫以降はすっかり消沈したのか…Brianの作曲もわずか数曲にとどまったアルバムでもある。
 それでもCarl Wilsonの活躍をはじめとして、Mike Love提供のオープニング曲「Don't Go Near the Water」やBruce Johnston「Disney Girls (1957) 」等も素晴らしいし、残りのメンバーで持ち寄った曲も合わせこれだけの高みに仕上げてしまうとは、決してB. Wilsonの才能一強のバンドではない(4曲寄せてはいるものの)ように思えて、この時期のバンドの底力に恐れ入ってしまう。
 …ただし個人的には、アルバム全体の緩やかな流れの中にあって、アッパーな「Student Demonstration Time」(「学生のデモに近づくな」という歌詞も含め)の存在のみ当初こそ違和感を抱いていたのだけど…そこは惚れた弱みか、今となってはそのアートワーク同様? この作品における欠くことのできない魅力のひとつである、とも思えるようにもなった。
 
・Beach Boys - Long Promised Road

 

So I hit hard at the battle that's confronting me, yeah
Knock down all the roadblocks stumbling me
Throw off all the shackles that are binding me down
(Down, down, down, down)
 
 青年期の成長に伴う痛みを歌ったナンバーだろうか? Carl WilsonとJack Rieleyによる共作曲だ。(Down, down, down, down)のコーラスが祈りのようにリフレインされて、これまでの闘い切った己への労いと現実を受け入れここから前進しよう、という意志が感じられる鼓舞される名ナンバーである。
 

 
 この辺りのBeach Boysの、寒くなってきた秋口に聴きたくなるようなナイーヴな作風は勿論長きに渡って愛着があるのだが、実はここ近年というもの、彼らの初期の極めて屈託ないサーフィン&ホットロッドな作品群の魅力を改めて再発見してしまい、それらを中心に楽しんでたりして。
 ああ今年も夏近し。