Wieman
ここ最近というもの、平日仕事のお昼休みに週一で通っているお気に入りの洋食屋さんがある。住宅地にポツンと位置する年季の入ったエメラルドグリーン色の建物が目印だ。以前から近くを通りかかるたびに気になっていたのだが、ある日意を決して入店したのがほんの2ヶ月ほど前である。
引き戸を開けるとご夫婦でテキパキ切り盛りされており、支度のいい匂いが立ち込めている。愛想は良い方だがなれなれしさはなく居心地が良い。平日のランチタイムにはほどよく地元ワーカー衆によって席が埋まるのだが、並ぶほどではない。
週替わりランチは960円でコーヒーかお味噌汁が付いてくる。オムライスは1,000円で、付け合わせに揚げ物が6種類の中からチョイスできるシステムである。冬季はカキフライも頂ける。
ランチタイムは底の深い大きめの中華鍋に多めの油が注がれて、強火にかけられっぱなしである。油が新鮮なせいだろうか? 揚げ物がジューシーでとても美味しいのだが、ついぞ自宅で揚げ物などしない自分などは大変重宝している。
自家製と思しきデミグラスソースとタルタルソースがまたカドがなくて素朴で優しいお味なのよ。思わずさて午後もがんばろう、となる。
『Casiotone Compilation Vol.9(V.A.)』(2021年)。
昨年末の東京滞在時に久しぶりに会えたASUNA氏に頂いた新作CD。
全編カシオトーンを使用した音楽に埋め尽くされたシリーズ最新作は、オランダのベテラン・ノイズグループ=Kapotte Muziekを率いるFrans de Waard氏別名義ないし参加グループ尽くしの異色の1枚である。アプローチは多彩ながらもいずれも硬質なミニマリズムに貫かれており、そのすきま風にもはや清潔感すら感じる。
全てCasioを素材としているくらいで、わずかにおなじみの愛着あるチープなテクスチャーは感じるものの一切愛嬌や人懐っこさは感じられない。だけどそこが潔くて一貫した美意識が伝わるというか、さすがはベテラン作家の妙というのか…同じ人間から産み出されている音楽だけあって、一枚で一編の音響作品にも感じられるのだった。
コンピの今後の方向性を占う意味でもこの一個人にフォーカスした新機軸は大いに可能性を感じて面白いな、とワクワクした次第である。
・Casiotone Compilation Vol.9 - Wieman
Kapotte Muziek作品のアートワークも大変自分好みである。1984年に活動を開始して2009年に25周年を迎えたということはもうすぐ40周年にも届く勢いであり、全く恐れ入谷の鬼子母神である。
さて今週ももう金曜日やないですか?
どちら様もご安全に素敵な週末をお楽しみ下さい。