Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Silver Rain

 
 GW最終日は終日に渡って大粒の雨が降り続けた。
 黄砂も地下へと流れ切ったか、はたまた鼻水が枯れ果てたのか…約2週間に渡って苦悶した鼻づまりは少しずつ解消されており、ようやく解放されつつあるここ数日間である。
 
 ここ最近のライブ当日はというと、何故だか雨天続きである。
 長年に渡って自分はそんなはずはないと思っていたのだけど、いよいよ雨男へとトランスフォームを遂げつつあるのかもしれない
 とは言えそんな足元悪い中でも、会場のネガポジには多くのお客様にお運び頂いて感謝することしきりである。ひとえにお店のブッキングの妙味と、はたまた共演者の素晴らしきお二方及び心ある音楽ラヴァーの皆様のおかげ様であると言えよう(自分なら自宅にこもってアマプラかYouTubeでも肴に一杯やってるところである)。
 
 豪雨降り続く外界から隔絶された空間で聴くお二組のアクトは、実際とても艶やかで贅沢なステージであった。心なしか雨の日の音響は、いつもよりぐっとしっとり響き渡る気がするのは気のせいだろうか? それに相応しいお二組であった。
 双方とも今回初めて拝見したのだが、沼はシンプルで瑞々しい演奏や楽曲の中にも毒気あるサイケデリック成分を多分に孕んでおり、お二人の生み出す独特の緊張感や余韻を堪能した。長濱礼香氏のレーベルからのリリースも納得である。一方変則チューニングやクラシック調の音階を操りながら終始凛とまっすぐ前を向いて歌う畑下マユ氏の、清潔感と透明感あふれる世界観にもしばし耳奪われた。
 

 
 僭越ながらお二組にはそこはかとなく共感できる感覚を感じたこともあり、この才気あふれる歌姫たちの中にあって何故か我々を加えて頂けたの光栄なことである。ネガポジ秀右店長のブッキングセンスとPA手腕には、ますます信頼とリスペクトが増すところだ。
 余談ではあるが…メンバーのセッティング転換中のMCで言うに事欠いて「素敵なフィメール・ボーカルお二組に挟んでもらってラッキー」などとおじさん全開の発言をしてしまい猛省である。もしもご気分を害された方がいらっしゃったら恐縮至極である。
 つくづく自分の血中には、かつて注入されただろう悪しき昭和しぐさが今もってアンインストールされ切れずに流れ続けているのだな、と。気を付けなくちゃね。
 
 今回のMoon Face Boysはというと、ライブ2日ほど前に急遽カバー曲を差し込んでみたり、旧曲のアレンジを一新するなど図らずも何かと意欲的なセットリストとなった。思わず久しぶりに震えたけど、そういう時に限って同時にワクワクもできるものである。そんな手前勝手な事情もあり、客席より温かい反応を頂けたことは嬉しい限りである。
 ここ最近はコロナ状況の緩和に伴ってかライブ出演のお誘いを頂く機会もまたポツポツと増えてきており、回を重ねる毎にだんだんバンドの呼吸も合いつつあるが、また同時に新たな課題も出てくるものである。中にはお互いの持って生まれた性分由来によるものなど、直近ではなかなかクリアーし難い課題もあるのだけど(勿論自分を含めて)、その辺りはメンバーとコミュニケーションしつつ根気よく取り組みたい。
 
 来月6月には10日にバンドのライブ、19日にはネガポジのネットラジオに単身出演予定であるのだが、今しばらくはようやくひと息つけそうだ。
 ゆっくりレコードを聴いたり気になっている映画も見たいし…何か美味しいものでも頂くなどして英気を養いつつ、いよいよ新曲作りにも臨みたいなどと構想しているところである。
 

 
 連休は暦通りの出勤を間に挟んだこともあり、あっという間に終わってしまった。
 5月頭は、急遽久しぶりに弾丸で実家へと帰省する運びとなった。あまりゆっくりも出来なかったけど、実に3〜4年ぶりに再会した母と妹の元気そうな顔を見れただけでもホッとできた。久しぶりに母の家庭料理を頂いたり…それにしてもボーッと座っているだけで朝に夕に食事が運ばれてくるというのは幼少期は日常であったけど、今となってはつくづくありがたいことである。
 もう少し時間が取れれば友人たちにも会いたかったのだけれど。…とは言いつつ、Diskunion柏店とお茶の水店への聖地巡礼は決して欠かさないのが、信心深い? 私らしいところである。
 移動車中では駅弁をパクついたりして、久しぶりに旅情がこみあげてきた。
 

 
 GWは折からの帰省予定も入ったりで冷蔵庫の在庫償却に余念がなく、おかげで冷蔵庫は今や空に近い状態となっていた。牛肉が安かったのでピーマンとナス、玉ねぎなんかも召喚して炒め合わせたり。はたまたキャベツやナスなんかをトマトジュース(+ケチャップ、水、ガラスープ素など適当に)で煮合わせたものも簡単美味しかった。
 ちょうど見ていたYouTube「エガチャンネル」に登場したシラスが急に食べたくなったので調達したりするなど。シラスはたくさん加えるほど美味しくて、海から直接エネルギーを頂いている気がするのだった。リハ時にカメちゃん氏よりお裾分け頂いたスナップエンドウも甘くてとても美味しい。さっと茹でて塩とかつお節だけで頂くので十分なのだった。
 

 

 宮本典子『Rush』(1980年)でも。
 Mimiこと宮本典子のソウルフルな歌唱がいなせで格好よく、そんな中にもどこか昭和のネオン風情が漂ってきては、つんと鼻の奥を熱くしてくれる。
 

 
 元々は銀座出身で、赤坂のディスコで「ゴーゴー・ガール」ダンサーとして遊んでいたのが、のちのシンガー転向へのきっかけであったというエピソードも東京出身者のそれっぽい。90年代に単身で渡米してLarry Graham(ex. Sly & the Family Stone)率いる Graham Central Stationのシンガーとしても活躍するなどし、現在も引き続き米LA在住なのだそうな。
 
・宮本 典子 - Silver Rain

 
息を止めるほどの 熱い野性よりも 
心の支えだけ 別れにほしいけど 
Silver Rain この雨がやんだら他人同士
 
 アルバム1曲目を飾るナンバーであるが、エレピのイントロ〜ツインリードギターによるテーマがアンニュイで好きだ。
 ジャズ・ベーシスト鈴木勲氏のプロデュースや林哲司氏が作編曲を担当していることも、このアダルト・コンテンポラリーな仕上がりに貢献しているように思う。
 
 歌詞のメインテーマもまた、ブルーズ〜クラシック・ソウル界隈ではおなじみの失恋エピソードのようで。
 心中でそっと別離を決意した夜の、最後の未練や割り切れなさがいじらしく歌われ思わずぐっときてしまう。
 
 個人的には最初にこちらの5th作『Noriko』(1982年)のジャケットのインパクトを通して彼女を知ったこともあり、勝手にワイルドで姐御肌な劇画調のイメージを持っていた。
 

 
 当時は歌謡番組にも出演していたようで、そこに映る彼女は意外にも健康的で溌剌として見える(演じていたのかもしれないけど)。
 結局のところ日本の狭小な音楽ビジネスとは相容れなかったようで今となってはそんなはね返り感も彼女の歌唱から十分に感じられるようなバブル期にかけてそれこそ泡のように色々な才能が現れてはどんどん消えていったのだろう。
 
・宮本 典子 - Last Train 

 
 もう金曜日? どうかワイルドな週末をお過ごし下さい。