Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Love's on Fire

 
 職場で育てているサボテンの花が2〜3年ぶりに咲いてくれた。夜になるにつれて花弁がゆっくり閉じていくのがまたキュートである。…ほんの3〜4日ですぐにしおれてしまうのだけど。
 
 夏らしく夏野菜を使ったメニューが続いている。キュウリをキュッと揉んだのが美味しい季節カムズである。お気に入りで今やヘビーユーズの株取りナメコは何月くらいまで入手できるんだろうか? そして今年は春先から玉ねぎが高騰して久しいので例年に比べると食卓に上る機会が少なくて淋しく感じている。
 
 
 時系列が行ったり来たりになってしまうけど、先日の雲州堂ライブ前日の7月2日は、実はバンドのリハ後にその足で大阪フェスティバルホールへ出向いては、山下達郎氏の公演を鑑賞してきた。
 達郎氏のライブは、過去3人編成のアコースティック・ライブを1度観たきりだったが、その演奏が大変素晴らしかったこともあり、かねてより楽しみにしていた今回の初のフルバンドで編成でのツアー公演であった。果たして達郎氏のパフォーマンスは勿論のこと、バンド・アンサンブルからステージ上の照明含むショウアップから…さすがに妥協のない職人的なオコダワリとクオリティーを感じさせるもので、3時間弱の演奏は実に密度の濃い時間となった。
 

 

 達郎氏もギターをテレキャスターに持ち替えて、キレキレのカッティングを繰り出す。御年69歳とは思えないハリのある伸びやかな生歌唱にもすっかり聴き惚れてしまった。ライブとレコードとは完全に切り分けているそうで、リリースしたばかりの新譜からの披露はわずか3〜4曲程度であった。そう言えば選曲についても「毎晩同じセット、同じ曲順、何なら一語一句同じMCでやりたいくらい」と公言してはばからない。
 「Let's Dance Baby」の2番の頭で観客がクラッカーを鳴らすくだりなんかは達郎公演における長年の定番であるそうで。達郎氏の忌み嫌う観客のシンガロングも一切なく、ハンドクラップを促すシーンも最小限でありその分じっくり肝心の音楽が聴けた。全体に(自分よりもかなり)年齢層も高めであるせいか、ほとんど座席で静かに鑑賞できたことも贅沢であった(時折起立したりハンドクラップしたり、のタイミングはお約束なのだろう…それはそれで独特の同調圧を感じなくもなかったけど)。
 レコードを発売前に予約するイベントも含めて、こうして大箱で大勢の人々に紛れて大衆的なポップスを楽しむ体験は随分久しぶりな気もするけど、たまには悪くない。
 
 山下達郎『Softly』(2022年)をば。氏の誕生日でもある先日6月22日に発売したばかり新作を、今週に入ってようやくゆっくり時間をかけて楽しんでいる。ここ数年というもの毎週リスニングしている氏のラジオ番組「サンデー・ソングブック」で事前に数曲ほど紹介されたり、2週に渡って全曲オンエア及び解説が組まれるなどして事前の期待は否応なく高まっていたのだけど。
 

 
 11年ぶりのアルバムということで、その間にリリースされたシングルも作品の半数を占める内容である。ライブでも披露していた「Recipe」が主題歌であったドラマ「グランメゾン東京」も毎週楽しく拝見していたこともあり、その時分よりアルバムを心待ちにしていた身としては実に感慨がある今回の作である。達郎氏もインタビューで発言されている通り、この混迷の時代にあって、全体に「光」や「希望」を想起させるポジティブな(広義の)ラブソングが目立つ。逆に唯一異色作?「Oppression Blues」のみがロシアのウクライナ侵攻時にいち早くラジオで「弾圧のブルース」という仮題でオンエアされていたことも忘れ難い。
 シングル既発曲も全曲再ミックスにてマスタリングしたそうで、「Reborn」で終わってまた1曲目「フェニックス」に戻っていくという心憎い構成も含めて、1つのパッケージ作品としてさすがの高みに達しているように思う。ヤマザキマリ氏による肖像画を起用したアートワークももはや貫禄である。
 
山下達郎 - Love's on Fire


渇き切ったハートに 
あなたが触れたスパークは 
たちまちのワイルドファイア 
燃え拡がる 瞬く間に 
止められない もう僕には
 
 書き下ろしの新曲も最高の出来で嬉しい。このような宅録EDMナンバーをどういう風にライブで演奏するのやら、密かに楽しみにしていたんだけど…残念ながら今回は披露されることはなかった。何でもこれまで作った曲がざっと300曲以上あり、うち現在のバンドですぐに演奏できるレパートリが127曲ある、とMCでもおっしゃっていたので、そうなると必然的に選外となる楽曲ばかりとなってしまうのはやむをえまい。
 
 早いもので今週もどうやら金曜日のようで。
 本日はお昼過ぎにショッキングなニュースが飛び込んできた。
 何人たりとも理不尽な暴力がまかり通るべきではないだろう。第一まだまだ生きて頂いて国民に開示すべきことが山積みではないのか? とにかく今はただご無事を祈るばかりだ。
 この国がどんどん退行しているように感じられて全く暗澹たる気分である。
 ひとまず今週末は当初予定通り、この世の中が少しでもマシになることを祈りつつ…参院選に一票を投じてくるつもりである。
 どちら様もどうかどうか平和な週末をお過ごし下さい。