Twenty Five Miles
秋晴れに恵まれたので、只今開催中の「KYOTOGRAPHIE 2021」を周遊してきた。京都市内の大小各所を会場に、 国内外の様々な写真作家の作品が展示される大規模な企画展である 。街なかの小さなギャラリーから町家、京都文化博物館、二条城、 建仁寺両足院など会場も多岐である。 中央市場や新聞社社屋などが会場となった年もあった。 今年はFlying Tiger店舗内での展示なんて変わりダネも。 お得なパスポート券(QRコードを採用)を入手して、丸1〜 2日もあれば自転車で回れるくらいの規模も手頃でちょうどよい。
これまでは毎年春先GWの時期に開催されており、 個人的にも時間があればなるべく足を運ぶようにしているもはや春 の風物詩的催しともなりつつあったが、昨年〜 今年にかけてはコロナ禍の影響によりそれぞれ開催が秋へと延期さ れた。
とはいえ内容は毎年趣向を凝らした見応えあるもので、 おかげさまで今年も眼福至極にて堪能させて頂いた。 毎年事前に名前すら存じ上げない写真家の作品がほとんどであるが 、予備知識なしで無心で作品を鑑賞している時間こそが、 自由を感じられて好きである。
今年は個人的にダミアン・ジャレ & JR、マノン・ロンジュエール、アーウィン・ オラフ、ンガディ・ スマートなどの作品が特に印象に残った。
場内は感染予防策として入場時の検温とアルコール洗浄を徹底して いた。 ちなみに場内や作品の撮影も全然OKだったりするカジュアルさも 肩肘張らなくてよい。
鶏ササミ肉をヨーグルトとクミンスパイス・ ミックスに漬けておいたのを焼いて、ワカメときゅうりの酢の物、 小松菜をめんつゆ+ごま油とチンしたの、 残り物のブリと厚揚げ炊いたん(もはやブリの姿はないが)、などを頂いた。 ここ最近というものキッチンスペースの熱が引いて加熱調理も俄然 しやすくなり何よりである。 それに伴ってコバエの発生も少なくなって我が家に平和が戻りつつ ある。
Lonnie Smith『Drives』(1970年)を。
一昨日この大好きなハモンド・ オルガン奏者の訃報が舞い込んできた、 享年79歳とのことである。先のLee Perryよろしくもはや仙人の域に達していた方だが、 最近作に至るまで生涯現役ぶりを貫いており大変カッコ良かった。 ゴスペル、 ブルース辺りのルーツを窺わせるようなジャズファンクが大変自分好 みなのである。
前作「Think!」(1968年)のMarion Booker Jr.のドラムも素晴らしいが、今作のJoe Dukesのドラミングもこれまた端正で大変歯切れよく、アンサンブル引いてはアルバム全体の流れが軽快でカッコイイ。いずれもLonnie Smithの自在に伸縮するファットでエアリーなオルガン・サウンドととても相性が良いのだと思う。
Miles Davisの「Seven Steps To Heaven」も軽やかで肩ひじ張らない気持ちいいナイス・テイクやと思うし、そしてB面最終曲「Who's Afraid Of Virginia Wolf 」は中後半L. Smithがオルガンソロをブリブリ弾き倒したのち(気が済んだのか)あっけないフェイドアウトを迎えるっていう…気取らなさ? も好き。プロダクションも簡潔で自分好みだし、何とも風通しの良い独特の軽みがある作品で気に入っている。
・Lonnie Smith - Twenty Five Miles
A Tribe Called Questのドキュメンタリー「ビーツ、ライムズ・アンド・ ライフ〜ア・トライブ・コールド・クエストの旅〜」( 2012年)中でもQ- Tipが実際にこのレコードからドラムのキックをサンプリングし てみせてくれる名場面がある。
好きな時代の好きなアーティストが多数出演していることもあり、 今年の年末年始にアマプラに上がっているのを見つけて以来3回ほ ど見返してしまった。ちなみに映画の内容は、 個人的にグループの生い立ちのところが一番ワクワクしつつ、 徐々にすれ違いや不和が大きくなり… といった音楽ドキュメンタリーおなじみの後半の展開がかなり切な い、Phife Dawgの糖尿病悪化のエピソードとか。 がしかし今となっては動くトライブやネイティブ・ タンの当時の映像だけで十分にエキサイトしてしまう、 というものである。
そういえばまさかの1枚丸々Beckのカバーアルバム『 Boogaloo to Beck』(2003年)なんていう衝撃作もあったな。 Lonnie Smithのフラットでフレッシュな感性が窺えるし、 90年代にBeckの音楽を聴いて育った自分のような世代にも嬉 しいではないの。
つい話が逸れた(いつものことであるが)。 ここ最近は追悼記事ばかり続いて恐縮であるが、 こればかりは致し方ない。巨匠さいとうたかを先生もちょうどお亡りになったタイミングではあるが…この世界に当たり前のように存在していたアイコンの ような存在が次々と消失してしまい、ここ数年でも世界は大きく変容しつ つあることをひしひし感じてしまうのだった。
とはいえ素晴らしい音楽はこうして溝に刻まれては後世まで遺り続 ける。そういった作品を現在地点からの感性で勝手に楽しみながら、個々に日常生活や今後の人生に取り入れていけることこそは後に遺された者にとっての贅沢な嗜みであろう…特に自分のようなヒマ人にとっては。
R.I.P. Lonnie Smith (July 3, 1942 – September 28, 2021)