Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Just A Little Piece Of Me

 
 ロームシアターでSony Park展を観覧。昭和から平成を経て令和へと…時代を超えて私たちの生活を彩ってくれたSony産ギアの数々の変遷にじっくり見惚れてきた。
 現れてはあっという間に消えたMD、ラジカセにモバイル、初期のオープンリールデッキ等々…中には、自分が高校時代に貯めた小遣いで購入して、通学時に愛用していたカセットウォークマンの姿も。
 カセットデンスケや38マイク、My First Sonyの面々まで並んでは、正にオールスター揃い踏みであった。
 

 
 会場前で偶然にも光永夫妻に遭遇したりも。
 

 
 ある週末の夕餉。牛…は高価なので、豚ネギタン塩。白ワインともよく合うのであった。
 

 
 Sonic Boom『All Things Being Equal』(2020年)を。
 今年購入したレコードなのだが、まさかSonic Boomの新作がいつの間にやら、人知れずリリースされていただなんて全然知らなかった。
 ソロ名義作は『Spectrum』(1989年)以来実に30年ぶりという…しかもこれが最高の内容であり、遅ればせながら胸を高鳴らせて愛聴している。
 

 
 その極彩色のネオンカラーに彩られたアートワークが示唆する通り、全編吹っ切れたようにカラフル&サイケな電子ポップで埋め尽くされており一聴面食らってしまった。全編でアナログ・シンセのウォームで愛嬌あるトーンがふんだんに使用されており、これがまた心地よく脳を刺激してくれる。
 一方ではやっぱりなじみ深い、我らがS. Boomそのものの音楽でもあり、自分にとってはとても嬉しいサプライズ・ギフトとなった。
 
・Sonic Boom - Just A Little Piece Of Me

 

Walking through, through the trees
Feel the grass against my feet
Feel my soul just wondering why
Don't be sad, all things must pass

 

・Sonic Boom - The Way That You Live

 

 本作の製作にあたって「50〜60年代のドゥーワップやR&Rからインスピレーションを受けた」と言ってのける辺りも最高だ。それらの目に見えるクリシェ等は全く引用されていないけど、実に有機的で心躍るダンスミュージックである。やっぱりPeter Kember氏のパーソナリティは大好きだ。
 


 2020年当時のインタビューを拝読するに、どうやらこの10年くらいの間に、長年住み慣れた英ラグビーの街を離れて、近年はポルトガルのシントラという街に移り住んでいるらしい。
 歌詞のほとんどはその移住先の新生活からのインスパイアが大きかったようだ。
 いよいよ世界的に歯止めのきかなくなりつつあるコマーシャリズム、大量消費、環境破壊等に対する批判を明言して、自然の造形を愛でる現在の生活の尊さを語る姿は現在もパンキッシュで眩しい。何より…今もなお、音楽そのものに対する愛情と情熱がますますたぎっていることがひしひしと感じられて何とも嬉しくなってしまった。
 
「アルバムのジャケット内側に“vote everyday with your way of life”と記したんだ。それは決して苦行ではなく、心地よく感じる。俺なりにポジティヴな生き方を表現したかったんだ」

「『オール・シングス・ビーイング・イコール』では自然界の中にあるシェイプやパターンがエコーや反復をする、エレクトロニックでオーガニックな音楽をやろうとしたんだ。 樹木を抱きしめるようなヒッピー風の自然回帰レコードは作りたくなかったけど、自然との調和を音楽にしたかった」
 
 インナースリーヴに大き目の文字で列記された(いつになく充実した)サンクスリストからは彼の新旧に渡る親交が窺える。
 加えて本作では、Luna、Dean & BrittaのBritta Phillipsのゲスト参加も嬉しいし、かつて一足お先にポルトガルへと移住した若き盟友=Panda Bearも現地にて合流&客演しており、その相性もバッチリであると感じた。
 つい今秋には、そのPanda BearとS. Boomの共作アルバム『Reset』がリリースされたばかりで、こちらも早速取り寄せてはみたものの、なるべく安価に入手できる手段を優先するあまり、我が家への到着は来年2月へと先延ばしになってしまった。
 それまでお預けの間はゆっくりこのソロ作に耽りたいし、はたまたS. Boomの次回新作にも是非とも期待を馳せたいところである。
 

 
 ふとjugzコニシ氏に久しぶりに電話してみたところ、当然のように上記作品はチェック済みであった。さすがである。
 それどころか、こちらの共作『Indian Giver』(2008年)をレコメンド頂いてしまった。こんな素晴らしい作品がリリースされていたとは寡聞にして存じ上げなかった。全体に南部色が強いコラボレーションであり、Mudhoneyのぐっとマディ&ストーナーなカバーも聴けて最高である。
 
・Spectrum Meets Captain Memphis - When Tomorrow Hits(Cover)