Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Sinatra Drive Breakdown

 

 お仕事の繁忙シーズン到来ということで、2月中はほとんど当Blog更新にまで手が及ばなかった。加えて世間の動きの活発化と連動するように、多分に漏れず個人的にもライブを初めとする課外活動も増え出してきて、なかなかゆっくり時間を取れずに忙しなく過ごしている昨今である
 
 それにしても卵が高価である。今や昨年度比で約2倍の価格まで高騰しており、なかなか久しく手が出ずにいる。そんな時こそバナナはいつでも庶民の味方…と常々思っていたけど、今度はバナナも夕方の帰宅時間帯には連日のソールドアウトが続いており、ここ1週間ほどお預けの日々が続いている。
 がしかし我々には「大豆製品」という強い味方がいる。豆腐、納豆、油揚げ、豆乳…大豆製品こそ庶民の強い味方に他ならないのである、何より栄養価も高くて美味しいしね。というわけで連日彼らが我が家の食卓にレギュラー登場しているのだった。ついでにここ最近は、しば漬けをオートミールに混ぜがちである。
 

 
 先月はCigarettes After Sex @梅田クラブクアトロを観覧してきた。
 チケットがソールドアウトという事実も驚いたけど、会場の外国人の方の多さにも2度びっくりであった。誇張なしに会場の半数以上が外国人ではなかったか? しかもアジア系の若者が目立ったように思う。それに伴って会場は熱気に包まれており黄色い声援まで飛んでいた。必然的に会場内のあちらこちらではスマホをかざしてのライブ動画撮影会が行われており。せっかく全身黒色に身を包んで照明も終始暗めをチョイスして雰囲気作りをしたところで、辺りかまわずスマホのライトが横行しては何となく鼻白んでしまう自分がいた。
 とは言え、一方バンドの演奏そのものはあくまでも真摯で丁寧なものだったので、ゆっくり音楽を楽しみたくなり壁際へ移動し、ひとり静かに揺れていたのだった。
 ここ最近は大箱であってもライブの「撮影可」とする向きが主流のようである。
 

 
 続いて先月末にはPavement @なんばHatchを観覧した。
 十代の多感な時期に、同時代に活動していたバンドの中でも大好きだったバンドのひとつである(Pavementに限らず、当時MATADORからリリースされていたバンドは絶妙に個性的で好きなバンドが多かった)。
 1999年に解散直前のラスト作『Terror Twilight』をリリースして、同年に赤坂Blitzで観た来日公演(O.A.はSportsguitarかスーパーカーだったような)以来なので、実に24年ぶりということになる。
 当時若々しかったメンバーはもはや初老…を追い越して老いまで見える。演奏も加齢とともにバンドとしての一体感や年季を帯びており、Pavement の魅力がひしひしと伝わってくるような表現力をはっきり宿していて、独特のユーモアを含むグルーヴに久しぶりに高揚しつつも、何だかしみじみとしてしまった。かつては『Slanted And Enchanted』のような自由かつ無軌道なエネルギーこそが彼らのベストと信じて疑わなかった筈なのだけど。通りで自分もまた年をとるわけである。
 アンコール最終曲は意外や、Future Pilot A.K.A.BMX Banditsグラスゴー勢の名カバーでもおなじみ、Jim Pepper(Everything Is Everything)の「Witchi Tai To」のカバーであった。
 とは言え個人的には、新曲が1曲もセットリストに並ばないバンドのライブには一抹の寂しさを感じてしまったこともまた事実である。
 

 
 せっかくなんばに上陸できるこの機会に、まっつん氏と連れ立っては裏なんばでウカウカ盃を重ねておったところ、20〜30分遅刻してしまったのはここだけの秘密である。…だって思いの外、この日はO.A.もなくて開演時間も早かったんだもの。
 
 Yo La Tengo『This Stupid World』(2023年)をば。
 

 
 上記Pavementとも併せて90年代当時から愛聴し続けており、今だに大きな信頼を置くバンドのひとつである。時間は流れて…残念ながらPavementは活動をストップさせてしまったけど、一方Yo La Tengoは相変わらず古巣MATADORよりこうして嬉しい新作を届けてくれた。
 長きに渡ってバンドを継続していくことの難しさは、末端の自分のような者にも身をもってよくよく理解できるところである(続けることだけがバンドの美徳とも思わないけど)。だからこそ、こうして21世紀になっても同じメンバーで新曲を聴かせ続けてくれることは、それだけでもはや奇跡であり、ファン冥利に尽きるというものである。
 
Yo La Tengo - Aselestine

 
 その上彼らは新作をリリースするごとに新しいトライも散りばめられており、耳を飽きさせない。そういう意味では今回は全編バンドのセルフ・プロデュースなのだそうで。今回MixにクレジットされているのはDumpことJames McNewである。
 よりバンドの中心を的確にとらえたかのような、シンプルな魅力がより人肌温度で直接なじんでくるようで、ささやかで幸福なひとときに満たされるのだった。持ち前の茶目っ気あるミニマルな音響も、ますますの奥行きや円熟味を増しては心地良く残響する。このレコードが回っている間はやっぱりホッとしてしまうし、やっぱりいいよね、とならざるをえないのだった。
 
Yo La Tengo - Sinatra Drive Breakdown
 
 
I see clearly how it ends
I see the moon rise as the sun descends
So far from you
Until we all break down
 
 正に、ますます壊れゆくこの「馬鹿げた世界」の中にあって、無事にサヴァイブしてあと何回彼らの新作やライブを聴けるかな? なんて思わず考えてしまう。
 
 はて金曜日とな? どちら様も全くお疲れ様でした。