Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Bullet Train to Vegas

 
 ここ京都も気温と湿度がぐんぐん上昇しては、いよいよ蒸し上がりつつある。
 

 件の職場で噛み合わない新人の方なのだが、その後も歩み寄りはなく平行線を辿っている。とは言え毎朝顔を合わさないわけにはいかないのだから、お互いにストレスを感じない範囲で気長に共存し合えれば、と考える方向にシフトしてきた。

 
 ここ最近になって、彼女はいわゆる「アスペルガー症候群(現:自閉スペクトラム症ASD))」なんじゃないか? とふと思い当たって色々調べていくうちに…これはいよいよ間違いないんじゃないか、と(勝手ながら)確信に近づきつつある。グレーゾーンであっても、ASDに限らず発達障害症例と一致する言動は少なくないように思われる。
 

 
 もちろん当方専門医でもないのに不用意な断定はできないが、「自分のこだわりを曲げない、ルールや予定外対応を嫌う、周囲の空気や気持ちが読めない、独り言が多い(声が大きくなる)」等々…。そう考えれば様々な点で合点もいくし、尊大な振る舞いも大目に見ることができる。がしかし、いかんせん他人様に対して勝手に決めつけるわけにもいかず…そうだとしてどう対峙するのか? 極めてナイーヴな問題である。かと言って解決策が見つかるでもなく、引き続き悶々とする日々なのであった。
 
 自分のルールに対して絶対の自信を持っておりそれを押し通そうとするが、そこに他者に対する思いやりや想像力といったものが致命的に欠如しているように感じてしまう…いわゆる独りよがりな学級委員長タイプとでも言うのか。
 会話するや必ず上から目線の内容で返されたり、そこはかとない嫌味が入り込んだり、でいちいちモヤっとするのが後味悪くて、会話は自然と減っている現状である。別に無視するわけじゃないけど、こちらから話しかけても梨のつぶての返事であるし、業務外であちらから話しかけてくることは皆無につき(警戒されてる節もある)、このような状況が必然となってしまう。
 そうなれば朝夕の挨拶しかない日も少なくなく、こちらの精神的にもなかなか辛いものがあるのだが、先方は特に気にしていないご様子。落ち着きがない傾向もあり、だんだん独り言が大きくなるなど…周囲の集中力の妨げとなっていることにも本人は至って自覚がないようだ。
 
 これは決して発達障害自体の是非を問うものではない(もちろん非があろう筈もない)。むしろ自分だって社会性が欠如している部分があることは自覚しないではないし、周囲の友人知人にあってもグレーゾーン(ないし)である人は決して少なくない。つまり誰でも当てはまる可能性があるのだが、問題はそれによって生じる周囲との現実的な摩擦と、その実際の問題に対しての対処方法である。
 
 発達障害そのものは先天的なものが今や一般的であるそうで、それによって社会性の面で生きづらい思いをしている当事者が排除されるべき社会であってはいけない。
 ただしもし同僚が発達障害なのであれば、まずは一緒に働く環境上、上記を前提に社会や組織としてもしかるべき専門的な理解や接し方(=受け皿)が用意できるか、が課題であると思うのだ。でないと本人よりもまず周囲が戸惑ったり疲弊してしまう(実際に職場や家族等、周囲がストレスで疲弊してPTSD等を発症してしまう「カサンドラ症候群」なる症例もASDと併せて一般的に知られているそうだ)。
 かく言う自分こそまだまだ知識が足りず、これを機に外来種とのフラットな共存の可能性を色々と勉強中である。
 
 
 わざわざ雨の中、喫茶ゆすらごより美味しいパンを拙宅まで直送にてお裾分け頂いてしまった。
 なるべく今晩食べてほしい、との由であったが、あいにく夕食をとり終えたタイミングだったので、翌朝早速プレーンのままで頂いてみた。外見は焼き色もキレイで香ばしい薫りがする。硬すぎないフワッと感もよくてツンツンしたくなる。果たして中身を割るともちっとしており、発酵の味わいだろうか? ほのかな酸味も贅沢に鼻を抜けるのだった。
 

 
 翌日は表面を炙ってチーズをオンしてコーヒーと頂いたり、はたまた職場のランチにと、サンドイッチにして弁当として持参したり。ついでに冷蔵庫に眠っていた、いつ買ったのか不明のシュレッダーチーズも使い切ることができた。
 お天気はぐずぐずと雨続きな週だったけど、おかげ様で贅沢気分な週頭を迎えることができたのだった。
 



 Drive Like Jehu『S/T』(1992年)でも久しぶりに。
 今年も訃報続きであるが、何とこの度Drive Like Jehu、PitchforkやHot Snakes等のフロントマン=Rick Frobergの早すぎる死が報じられた。何と享年55歳であったそうだ。John Reisのポストによると「自然死」とのこと。
 

 
・Drive Like Jehu - Caress

 
 『Yank Crime』(1994年)も甲乙つけ難いけど、やっぱり初めて聴いたこちら1st作の思い入れが個人的には特に強い(聴いた回数的にも)。
 今もって改めて血湧き肉躍る快作である。久しぶりに聴いてみるに、昨今のくさくさした気分も一発で吹き飛んでしまうような…こういう時はやっぱり無心でパンクを浴びるが吉なのである。
 ついでに学生時代に授業をさぼって池袋の某レコファンで中古盤を入手した記憶がありありと蘇ってきたりして…一聴ベタ惚れで当時毎日聴いてたな。池袋に某D.ユニオンができる前夜の話である。同級の学徒諸君は皆ココナッツ・ディスクに通ったりバイトしたりしていたものだ(遠い目)。
 
 Drive Like Jehuは、Rick Froberg と 盟友John ”Speed” Reisの、神経症的に湾曲したりひしゃげたりしながら猛進する金属的なツインギターせめぎ合いが、最高に大好きなポスト・ハードコアバンド筆頭であった。ブレイク時のMike Kennedyのベースのフィルインの緊張感も醍醐味やし、今やプロデューサーでもおなじみMark Trombinoのザラっとマットな質感のドラムもまたお渋い。
 
・Drive Like Jehu - Bullet Train to Vegas

 

We'll ride the bullet train to Vegas
The minute that we blow this burg
Just as far as it'll take us
Pay the man and ride the turd
Sopping wet, stinking drunk
 
 そして1stアルバムと同時期発のこの名作シングルにも大いにぶっ飛ばされたのだった。
 ちなみにこの曲を初めて聴いたのは、90年代末リリース時に購入した米サンタモニカのレーベルCrank! 発の傑作コンピ『(Don't Forget To) Breathe』(1997年)収録の音源であった、ちょっと性急目な演奏のデモかライブ録音だったと思う…あな懐かしみ。
 

 

・Drive Like Jehu - Live at Balboa Park in San Diego 8/31/2014

 
 2014年に地元サンディエゴのバルボアパークで開催された、19年ぶり1度きりの再結成ライブの映像記録を(遅ればせながら)この度初めて拝見するにつけて、そのあまりの格好良さに思わず爆笑しながら失禁しかけた次第である。後半J. Reisのダウンチューニングの下りとか痺れ上がってしまう。
 DLJ解体後も、常にいずれかのバンドで現役でプレイし続けて来た彼らにブランク等感じるはずもなく、老いて更にコクが増した演奏が実に滋味深くて素晴らしいこと。
 オルガン奏者の客演に加えて、何と地元の後進パンクス=Rob Crow(Pinback, Heavy Vegetable etc...)がスーツ着用にて束の間スクリーム客演する姿にも思わず胸熱くさせられる。
 2000年くらいに実際に観たTristezaとかAt the drive in(はエルパソやけど)のライブとかやっぱり頭抜けてた。サンディエゴ・パンク特有のねっとり捻くれたソウルは確実に後進に継承されている…ような気がする。
 

R.I.P. Rick Froberg