Đêm Huyền Diệu (Magical Night)

　近所に３月からベトナム食材店がオープンしたことは知っていたが、この度初めて入店してみた。ベトナム人の奥方と日本人の旦那さんで家族経営されているお店のようで、まだ小さいお子さんたちのケンカする声が狭い店内にラウドにこだましていた。

　店内をぐるっと見回すにかなりネイティブな品揃えで現地のお店さながらである。客層も在日の？ベトナム人の方が主要のようだ。さすがに輸入品である以上値段は現地並みとはいかないが…。用途のよくわからない調味料などについては店員さんに尋ねると気さくに教えてくれたので、数種見繕って購入することにした。

 

 

　鶏もも肉にはレモングラスソースと鷹の爪を投入して片面3分ずつレンジでチンしてみた。本来は豚肉煮込み用のスープの素ぽいのだが…何とも爽やかで濃厚な旨味であり、ラクして美味しくできた。チキンフォー用の固形ブロックでは豚肉と白菜をたっぷり仕込んで鍋を作ってみた。後から気がついたが、チキン⇄豚肉逆やね。特にフォーの素が思いの外薄味だったので具材にもかなり左右されそうである。厚揚げとチンゲン菜には「マムトム」というエビの魚醬にハチミツとレモンを足したものをソースとしてかけて頂いた。アンチョビやイカの塩辛のような臭みがクセになりそうな予感である。

 

 

　見た目から駄菓子のようなチープさすら覚悟したものの、なかなかどうしてハーブやスパイスの香りが効いており…うんうん雰囲気十分である。もちろん添加物なんかもそれなりに入っているだろうが。仕上げに全体にレモンを回しかければフレッシュな旨味が加わり、ぐっと現地っぽさにブーストがかかった気がする。ともかくもマンネリ化しがちな日々の食卓にちょっとした変化が加わるのはウェルカムなことである。

 

 

　Sublime Frequenciesの「Saigon Rock & Soul: Vietnamese Classic Tracks 1968-1974 V.A.」（2010年）をかけながら料理〜実食することによってエアー旅情感を高めてみた。

　2005年くらいにSun City GirlsのAlan Bishop主催の発掘レーベルという触れ込みで、多分にもれず同シリーズのタイやミャンマーのコンピを初めて耳にした時にはあまりのカッコ良さにのけぞったものである。

 

 

　日本人としてどこか親近感を呼び覚まされるようでいて、遥かに遠い独自のエキゾ感覚を持ち合わせているように感じた。60年代の音源が多く、同時代の日本のGSなどにも通底するような、英語圏のロックの影響下にあるサイケデリックなガレージロックやファンクが多い。だからこそ個々に際立つ差異というか…しかしいずれも日本人にはないファンクネスや節回しだとかを持ち合わせている。そのベトナム編が今作というわけだが、こちらも最高の内容である。

　自分がホーチミンを旅行した際には中古レコード店を見つけることすらできなかった。聞けば70年代のベトナム戦争などで60年代のレコードなどはほとんど焼けてしまったという話だった。…がしかしこのよくぞ捨て曲なしの充実ラインナップを聴くにつけ、一体これらの盤はどこでどのような形で入手したものなのだろう？　とそのアツいディガー魂には毎度敬服してしまう。

　今でこそ急速にマージナル（辺境）自体がひとつのジャンルとして根付いては更なる発掘は進んでおり、逆に英語圏の国からKhruangbinのようなスタイルのバンドが出てくるような時代になったが、その荒地を開拓して先鞭をつけたレーベルのひとつは間違いなくこのSublime Frequenciesであり、その謎にひたむきな活動あってのことだと個人的には思っている。

 

・Phương Tâm - Đêm Huyền Diệu (Magical Night)

youtu.be

Kể từ một đêm cùng nhau
Hoà lòng nhịp trong tình yêu
Của thời niên thiếu
Nhìn bầu trời thêu đầy sao
Dù rằng mình chia cùng nhau
Bóng đêm huyền diệu.

　

　またベトナムで生ぬるい風に吹かれながら川べりでゆっくりBBBでも飲みたいものである。ついでに数年前に単身ホーチミンを訪れた際の写真でも貼っておこうか。