Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Ease Down The Road

 本日あいにく外は大雨であり、明日からもしばらくは天気予報も傘マーク続きである。
 いよいよ更新タームが空いてしまったが、先週末辺りは快晴で暑い日が続いたので毎日夏っぽいものを食したりしていた。冷やし中華やチャーハンなど。ハモが安くなっていたので初めて湯引いてみたりも。梅肉ソースも自家製である。
 
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 引き続き出町座にて「ケリー・ライカート特集」が開催されていたので、先週末は待望の「Wendy and Lucy」(2008年)、「Meek's Cutoff」(2010年)を鑑賞してきた。
 2作ともミシェル・ウィリアムズ主演作で、奇しくもぶち抜きにて興味深い2本立てとなった。出し抜けに始まって出し抜けに終わる(というか続いていく)みたいな作風にも風通しの良い余白を感じるのは相変わらずだが、今回はそれぞれ失業中のホームレスが練り歩くオレゴン州の田舎町と、片や西部開拓使前夜の3世帯家族が練り歩く(同じく)オレゴン州の砂漠地帯を舞台にした…いずれも旅人が主人公のロードムービーだけど。その置かれた状況やずっと変わり映えしない風景等も相まってか、思わず息苦しくなるような密室的緊張感に満ちている。がしかし、その息苦しさすらもだんだんと心地よくなるような感覚は、やはり監督おこだわりの映像美あってではなかろうか? それはある種のホーム感にもなり得ると感じた。
 
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 連綿と続くオレゴンの風景の中で繰り広げられる群像劇が何とも魅力的であり、不思議なリアリティの創出にまたしても引き込まれた。もちろん専門分野にはめっきり疎いのだが、長回しで撮られる表情の機微などがやっぱりとても魅力的であり、個人的に信頼できる視点を持っている監督である。
 自分の場合は、「ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画」(2013年)、「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」(2016年)の方を最初に見たこともあり、今回は初期作品のよりザラリとした魅力を改めて時系列に終えて大変意義ある特集であった。そしてこのタイミングで最新作First Cowの日本公開も決まったようで、こちらも楽しみな限りである。

 個人的には中でも一番のお気に入り作である「Old Joy」(2006年)でカート役を演じたWill Oldhamこと Bonnie “Prince” Billy『Ease Down The Road』(2001年)を久しぶりに。ちなみにWillは上記「Wendy and Lucy」でも酔っぱらい役と劇中曲作で参加している。「Whooo, King Salmon!」の台詞でおなじみの。
 

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 ヘヴィ・フォーキー傑作『I See A Darkness』(1998年)の次作に当たる本作は、一方ぐっと肩の力の抜けた穏やかでリラックスした作風が個人的に肌に合って愛聴していた。
 プロデューサーはThe Continental Op名義(Will Oldham+David Pajo)とされており、実際に先述のDavid Pajoもミキサーやプレイヤーとして全面参加しているのも特筆すべき点であると思う。裏ジャケの夕暮れのバルコニーでのContinental Opのセッション模様の写真よろしく…聴くたびにシンプルな抜け感のあるカントリー・サウンドが心地良く吹き抜ける。
 余談ではあるが…David Pajo=Papa M名義で発表された『Live From A Shark Cage』(1999年)は、個人的にその発売以来〜現在に至るまで愛聴し続けている数少ない作品の1枚であり、自分の人生史上でも疑いなく5本の指に入るくらいの傑作アルバムであると思っている。
 『Ease Down The Road』とは制作期も同時期であって、その点でもこの独特の醸造されたケンタッキー州はルイヴィル産の独特なコクが感じられる…知らんけど。
 
・Bonnie 'Prince' Billy - Ease Down The Road

 
All due respect was meant and all
The winds were in agreement
That this was answering the call
Of awkward and true feeling
 
 
 人妻を旅に誘っては寝盗ってしまう、しかも消防士の旦那に免じてちゃんと火消ししておいた、というとんだ不貞な歌詞ではあるが。Will Oldhamの描く歌詞はセックスにまつわるものも少なくはない。