Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

くつやのマルチン

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 先日受診した1年ぶりの健康診断の結果はまずまずであった。引き続きコロナ禍における食生活の改善が功を奏してか、体重は1年前に10kg落としたままをキープしつつ、課題であった懸案のLDLコレステロールも大幅に下げることに成功した。
 これまでの欲望にまかせた不摂生な生活習慣によるツケを年々痛感する次第であるが、ひとまずは自分=相棒を褒めて上げたい。もう半世紀はよろしく頼もう。
 がしかし一方このコロナ禍のインドア中心の生活で視力の悪化が加速したようだ。近視にはいつしか乱視が混ざり、終いにはここ1年くらいで遂に老眼が始まったようで。近くのものがボヤけて見えるのでスマホなどちょっと離してみるとようやく焦点が合うという…単純に老化現象でもあるだろうが、これが諸先輩方から話に聞いていた噂のあれか、と。
 静かなるショックを受けている。
 
 サケとお豆腐やお野菜各種の鍋物、ブロッコリとお揚げに調味料を加えてチンしたの、ハマチのお造りに自家製のあん肝を添えて、ワカメとシイタケのオー米などを肴に週末のねぎらいにてキンミヤのお湯割を頂いた。カボス(ぽい柑橘)をしこたまお安く入手したので香りづけに搾り入れるなど至福であった。
 

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 昨日はカメちゃん氏が長年師事しているピアノ教室主催のコンサートへ。琵琶湖畔のグッドロケーションで小ホールながら大変立派な会場と音響設備であった。
 課題曲のチョイスはラヴェルの「道化師の朝の歌」。個人的には初めて聴く曲であったが、いわゆる難曲であるらしい。フワフワしたとらえどころのない不可思議なリズムと、あちこちに転げるようなメロディが魅力的な曲で、カメ氏のタッチや個性にも妙に合っている(合わせているのだろうが)ように感じてはしばし聴き入った。バンドメンバーのソロ演ということで、妙な緊張感と感動があった昼下がりであった。
 

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 Compostela『1の知らせ』(1990年)でも久しぶりに。
 故・篠田昌己氏、中尾勘二氏、関島岳郎氏によるブラストリオによるpuff upレーベルからのリリース作。自分の葬式にはフューネラル・マーチ代わりに是非とも流して頂きたいくらいには愛着ある1枚である。
 

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 クレズマーやチンドンのトラッドやオリジナル曲、即興プレイなんかをベースにした、三楽師によるささやかながらもふくよかな合奏が、その行間に独特のユーモアや哀愁を滲ませては心地よく沁み入る。
 
・Compostela - くつやのマルチン

 
 折しも80年代NWシーンの隆盛やバブル景気なんかの背景を尻目に懸けながらも、この音楽はあくまでも虚飾がなく、今もって等身大で市井の眼差しのような温かみのようなものを感じる。この全編飄々淡々とした3人のバランス感は、なかなか一朝一夕で得られるものではない絶妙なものだろう。
 1992年の篠田氏の急逝(享年34歳)により、もう2度と3人のこのアンサンブルが聴けないことは残念至極ではあるが、中尾氏、関島氏らにトロンボーンの古池寿浩氏を加えた形で「ふいご」の活動などによって、その音楽の続きに触れることができるような気がするのはせめてもの救いであろう。『1の知らせ』はCompostelaという母体を亡くした今でも、例えば後進のPOPOなんかにも繋がっていくような、日本人のDNAや生活の中から生まれる国産「軽音楽」のひとつあるべき姿のようなものを感じさせてくれる。