Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

I've Had My Heart Broken

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 先週末に一報あり、どうやらこの度ドラマーまっつん氏がコロナに感染したそうである。発熱症状があったので念のためPCR検査を受けたところ陽性がはんめいしたとのこと。
 ついに身近な人間も…と戦慄したものの、幸い今のところは軽症状だそうで、解熱後は喉鼻など風邪の治りかけ程度の症状が残るのみとのことである。
 未だに保健所からの連絡一切ないそうで、向こう1週間ほどは仕事も休んで自宅にて自主隔離中とのことだが、同居人の奥方との住み分けなどなかなか悩ましそうである。寝室は分けて共有スペースはこまめに消毒するなど…。
 日頃感染予防にも人一番気を遣って、あんなに地味な…否慎ましい生活を送る人間でも? 濃厚接触者は奥様ただ一人、というのが何とも彼らしいけど。いち早いご快復をリモートにて祈るばかりである。
 
 週末はトマトベースに肉団子やオリーブオイル、チーズなどを投入して洋風お鍋をするなど。ムール貝が半額だったのでニンニクとワインで酒蒸しにした。あっという間に白ワインが1本空いてしまった。
 牛肉をお安く入手したのでスンドゥブチゲ鍋に投下して温まったり、マグロのお造りも脂がほどよくのっており、いつになく贅沢な食材に彩られた週末の晩酌と相なった。
 タンパク質をしっかり摂取して免疫力を上げては逞しくサバイヴしていかねば、なのである。
 
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 「カンボジアの失われたロックンロール」(2014年)を鑑賞。〜2/3(木)までは日本語字幕版を無料で楽しめるとのことである。
 5~70年代カンボジアで活躍した様々なシンガーやバンドに焦点を当てて、彼らの音楽や人生が当時の世界情勢に翻弄される様を、当時の映像や現在のインタビューなどを通して描かれたドキュメンタリー映画である。
 

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・Don't Think I've Forgotten: Cambodia's Lost Rock & Roll(Trailer)

 
 当時の音楽や映像に触れられることが貴重だけど、何と言ってもその内容がいちいち魅力的である。5〜60年代の活気ある音楽がいずれも素晴らしく、それぞれの個性も粒ぞろいでのびのびしており楽しい。極彩色のレコジャケを見ているだけでもワクワクするものがあるな。…70年代初頭のクメール・ルージュの侵攻〜独裁統治が暗い影を落とすまでは。70年代に入るや音楽家はことごとく弾圧され、国威発揚を強要されたり、反目すれば殺戮されたり、身分を隠しては田舎へと逃れたりして活動もままならず…10年間ほど国内の文化は根絶やしになった様子も描かれており思わず胸が痛くなる。
 
 ベトナム戦争の影響下での、平和中立的なシハヌーク国王が海外渡航時にポル・ポト派にクーデターを図られた経緯と顛末、クメール・ルージュが啓蒙され焚きつけられた田舎の貧しい農民たちから成る集団であることなど、当時のカンボジアの時代背景についても、寡聞にして今回初めて知るところが多かった。そして独裁的な政治が音楽やアートに及ぼす影響力とその恐ろしさなども改めて。後半につれて胸が苦しくなるけど、だからこそこうして字幕入りで見ることができて意義深いことである。国際交流基金アジアセンター+東京国際映画祭の計らいに感謝したい。
 

 
 ちなみに翌2015年にはDust-to-Digitalからサントラ作のリリースもあったようで。
 

 
 『Wounds of Love: Khmer Oldies, Vol. 2』(2021年)でも。
 ちょうど昨年末にDeath is not the endよりリリースされたばかりのこちらを聴いたりしていたタイミングだったこともあり、先の映画と照らし合わせては…5〜60年代はシハヌーク国王統治時のクメール文化の和平的な空気感の記録群に改めてぐっときてしまうものがあった。
 

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 映画にも登場したSinn Sisamouth、Ros Serey Sothea、Huoy Meas、Pen Ranなどの曲も聴ける。表1アートはVol. 1ともども1曲目にフィーチャーされているChhun Vannaのご尊顔であるようで。
 
・Ros Serey Sothea - I've Had My Heart Broken

 

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 映画でも取り上げられるRos Serey Sotheaの結婚の失敗〜その後のSinn Sisamouthとの交流などの描かれ方もなかなか切ないものがあり、その分彼女の歌唱もより胸に迫るものがある。カンボジアのポップス自体も、その牧歌的な感触とは裏腹に「別れ、偽り、絶望」にまつわるものも多かった、と作品中でも発言されていた。
 当時欧米は元よりフランスやキューバなんかの音楽の影響が色濃いとされる、ねっとりむせかえるような独特の開放的南国感がタマらない。映画では一際印象的だったガレージ・ロックバンド=Banksei Cham Krongなどの姿は見当たらない分、全編ゆったりとしたフローもこれはこれでぬるま湯気分が最高だ。
 
 色々あるけど、何はなくとも平和と健康が一番であるな、と。
 
 …あと愛ね(ないけど)。