Boys Tree

MOON FACE BOYS, mono tone boy, Go to Bed! Records

Ku'u Home O Kahalu'u

 久しぶりにやってしまった。
 朝方出勤前に日課であるスムージーを頂く際に冷蔵庫を開け閉めしたのだが、そのままドアが薄っすら開いたままだったらしい。
 夕方家路に着いて冷蔵庫を開けるやあちこち結露による水滴だらけ。何度やらかしてもショッキングであるし、その度に自己嫌悪に陥ってしまう。そもそも冷蔵庫に物を詰めすぎなのである。
 
 レバーとモヤシ等の生姜炒め、厚揚げとキノコ、タケノコの炊いたん(暑いのでレンジで)、キュウリとキャベツの塩もみ、梅干しとアオサを混ぜ込んだオー米(オートミール米化)など。
 

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 土用丑のうなぎ…とシャレ込みたいところだったが、そこは「うな次郎」である。しかも半額になってたものを頂いた。タレと山椒だけでもかなり雰囲気が出るわけだが、何やろう…この言い知れない侘しさは。
 

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 とりあえずうなぎ特有の豊かな脂感は皆無なのね。皮とか食感とかなかなかよくできているのだが、故に企業努力などをかぎ取っては人工加工物をしがんでいるようでフューチャーな違和感が呼び起こされる。とはいえうなぎの漁獲量も年々減っているというし、特に自分のような独身者の食卓においてはこの値段にして「ま、こんなんでもええか」でもある。
 
 そして久しぶりにやられてしまった。
 土曜日は映画を見がてらレコード屋さんに寄ったものの、つい小一時間ほど居ついてしまったところ、その間にまんまとやられたのである。
 ここ数年というもの年々手厳しくなりつつある京都名物の自転車撤去である。店先にちょいと、と停めた自転車が跡形もない。現場には地面に貼られたおなじみの撤去済みを知らせる味気ないシール…何度やられても筆舌に尽くしがたい悔しさに苛まれる。
 

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 かつては都合3〜4回ほどやられたが、さすがに一社会人としての協力の気持ちもあり、ここ数年は注意を払ってお店敷地内の駐輪場や有料駐輪場を利用するなどして、それなりに注意を払ってきただけに、久しぶりの痛恨のペナルティである。
 しかも財源不足の京都市のこと…何と今年10月より撤去保管手数料(←誰も頼んでませんけど)が2,300円→3,500円に値上げするとの悲報ありで、くれぐれも皆様お気をつけあそばせ。
 
 仕方なく肩を落として歩き出すやいなや、ここはタイなの?…とい見まごう熱帯地方のスコールよろしくな集中豪雨に見舞われてはコンビニに避難するなど、散々な土曜昼下がりであった。
 
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 というわけでその数時間前には、出町座にてケリー・ライカートの長編デビュー作「リバー・オブ・グラス」(1994年)を鑑賞していた。
 次作「Old Joy」(2006年)以降のケリー・ライカート節?が確立される前夜を感じさせる作品ながらも、思ったより荒削りな印象はあまりなくて、終始魅力的なシーンに彩られた大変見応えある作品であった。
 

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 何のことはない、さえない中年による逃避行(未遂)劇…といえばストーリーはそんなよくある感じなのだが、だからこそ監督らしい独自の視点による意匠が素晴らしく、やはり何とも言えずいちいち鼻の奥がツンとなってしまうのである。がしかし「Old Joy」以降の沈黙が雄弁に語りだすような間合いの豊かさは、やはり監督自らが編集も手がけるようになったことが大きく影響しているのではなかろうか? とも感じた。
 ちなみに「River of Grass」の編集は、当時リー役で出演のラリー・フェセンデンによるものだそうで、彼はエンディングロールで流れるSammy「Evergladed」のMVも監督している人物とのことだ。Sammyの名前は久しぶりに聞いたな、当時日本でもPavementフォロワーみたいな形で雑誌やレコード店等で紹介されていたものの…悲しいかな、その後彼らのCDはいついつまでも中古100円〜300円コーナーの常連選手であり、かく言う自分もそこでいたたまれなくなり入手した口であった。
 今聴いてもイナたくも愛着あるこの90's USサウンドが、何だか妙に映画にも似つかわしくて思わず苦笑いしてしまった。
 
・Sammy - Evergladed

 

 ちなみにエンディングロールにはYo La Tengoのアイラ・カプランの名前が「Additional Sounds」担当としてクレジットされておるのを発見して、この頃からすでに交流があったことを今さら知るにつけ驚いた。NYのハル・ハートリー監督との交流はYo La Tengoファンにも長年おなじみであったが…。
 そうなると傑作「Old Joy」をもう一度見直してから(Yo La Tengoによる劇中音楽がまた最高)家路に着きたいのは山々であったが、折からの自転車撤去とスコールを前に這々の体で撤退を余儀なくされたのだった。
 
 Olomana『Like A Seabird In The Wind』(1976年)をオン。よく行くレコ屋さんの中古500円コーナーで拾ってきたレコードである。
 

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 個人的にはよく知らないグループだったが、試聴したところとても良かったのでナイスな拾い物をした。オアフ島出身のギターデュオによるシンプルなハワイアン・フォーキーがひたすら楽園的で心地良くて飽きがこない。サラっとしていてベタつかず辛気臭いところがないというか。
 今年も夏休みもまたどこへも行けそうなので、せめてこのレコードをかけながらしばし島巡り風情に浸るのであった。アイスコーヒーが美味しい。
 
・Olomana- Ku'u Home O Kahalu'u

 
Last night I dreamt I was returning
And my heart called out to you
But I fear you won’t be like I left you
Me kealoha ku’u home o Kahaluu

Afrique Victime

 さて金曜日の到来である。お暑い中を一週間お疲れ様なんでした。
 今週などは就寝時にも常時クーラーをオンしっぱなしでないと寝付けずで。28度設定にしておいても明け方ともなれば、今度は寒さで起きてしまう。
 皆達者でやってるかい? ということで当方ますます他人と会わないソロ・ライフを日々淡々と過ごしております。緊急事態宣言は明けて久しい京都であるが、個人的には生活パターンにさしたる変化のない日々である(と思ったらまたまん防だそうで…)。
 
 安くなっていた豚ブロック肉でチャーシューを仕込みつつ、外側を削った肉でもって姜葱醤とニンニクで下味をつけ生姜焼きっぽく焼いてみた。余っていたメンマと切り干し大根、ワカメはごま油と和えて中華風に。キュウリは塩して揉んだだけ。これまた余っていたカクテキを冷奴に無理やりオンしたものの、それぞれ別に頂くのでよかったのだった。ただしここ最近では市販のキムチもそのままやと味が濃く感じてしまいがちである。
 

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 Mdou Moctar『Afrique Victime』(2021年) 。
 昨日のLes Filles de Illighadadの同郷ニジェールのお兄さん的なバンドである…らしい。
 

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 バンドの素性については個人的にはDazed Magazineの記事を日本語訳したサイトが大変参考になった。それによるとバンドのリズム・ギタリストのAhmoudou Madassaneは実際にL. F. IllighadadのFatou Seidi Ghaliのご兄妹である、とのことである。Mdou Moctar本人の地元タホアでの日常生活や生業、出自に伴う政治や音楽観など大変興味深いエピソードも多い。
 Sahel Soundsからリリースされた初スタジオ録音作『Ilana (The Creator)』(2019年)を経て何とこのたび名門Matador Recordsから世界デビューという快挙でビックリさせてくれた。デザート・ロックといえばTinariwen辺りは今や大家であろうし(かつてキコリレコード今井氏に『Amassakoul』のCDを借りて最初に聴いた時はカッコよくてのけぞった)、Sublime Frequenciesが世界に向けて紹介してくれたGroup Doueh、Omar Souleyman(はアフリカでなくアラブやけど)…らの偉大なる先達の音楽がじわじわと認知されてきた流れもあるのだろうか?
 

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 レフティーで弾きまくりの胸がすくようなギターワークと砂埃を上げるようなストーナーサイケ・アンサンブルがまたぐっと胸熱くするものがある。やたらとジミヘンだVan Halenだののギターヒーローが引き合いに出されたりもするようだが、なるほど70’sハード・ロッキンな?アートワークもまた絶妙だ。クーラーのきいた部屋でこのレコードをかけながら頂くアイスコーヒーがまたひと際沁み入るのである。
 
・Mdou Moctar - Afrique Victime

 
Africa is a victim of so many crimes
If we stay silent it will be the end of us
Why is this happening? What is the reason behind this?
My brothers and sisters, tell me why is this happening?
 
 アルバム中のアコースティック・ナンバーの挿入も素晴らしかったのだが、Tiny Desk Concertで聴かせてくれるリラックスしたホームライブも内容が良く嬉しい。
 

 

 Sahel Soundsレーベル・オーナーであり映像作家のChristopher Kirkleyが監督したというMdou Moctar主演ドラマ「Akounak Tedalat Taha Tazoughai」(2015年)は何と「Purple Rain」(1984年)をセミオマージュした内容とのことで、こちらも機会があれば是非とも鑑賞したいものである。
 


 なるほどTrailer映像でもレザーに身を包んでPrinceよろしくバイクで町を滑走しておられる…。

Irriganan

 出先で日差しにじりじりと焼かれては、しばし日陰を求めて入店したお店で頂くアイスコーヒーもすっかり美味しい季節になりまして。夏はわりかし好きな方である。
 

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  ちょっと火を使うそばからキッチンの温度の上昇ぶりにクラクラきながらも相変わらず毎日クッキン’しております。…なかなか巧まないけど。
 先週末に堀川会議室にて入手した無農薬有機栽培のナス、キュウリ、UFOズッキーニが早速活躍し、おかげで夏野菜メニューが重宝している。果実味が濃ゆい。
 ラタトゥイユや塩した浅漬けなどを多めに作り置いたり、ヒイカのトマト煮も簡単ながら出色の美味しさであった。
 

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 強行開催によりいよいよ盛り上がっているらしいオリンピックのかげでやはり感染者数も激増しているようで。宅にはテレビがないし、元々スポーツをウォッチする習慣があまりないので一切見れてないけど。
 純粋に選手の活躍を応援する友人には微笑ましいものがあるし、一方ではやはり医療現場も逼迫しつつあり、これ以上の感染拡大を懸念しては抗議の声もますます不満や苛立ちをもって加熱している。
 このオリンピックで一部富裕層はますます財をなして、大多数の庶民の税負担はますます増えるんだろう。そんな中もちろん選手にも罪があるわけじゃなし…誰もが異なる立場の中でそれぞれに複雑な心境なのではないか。
 あちこちでこのような分断が起きることがまた辛いし、個人的にはまずは誰がこのような分断を生む元凶となったのか、または加担しているのかを覚えておきたいと思う。
 
 …単純にワクチンも行き渡った頃合いで迎える来年の開催であれば、それこそ祝祭的な祭典になったのではないか? なんて考えちゃうけど。
 
 Les Filles de Illighadad『At Pioneer Works』(2021年)。
 最近リリースされたばかりのSahel Sounds発の新譜であるが、これが大変自分好みでホクホクしている。
 

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 「Illighadadの娘たち」と冠されたニジェールのトリオ(現在は4人編成だそう)。黒地に浮かび上がる金色の女性たちのシルエットが施されたアートワークからして眩しい。チャントとクリーントーン・ギター、パーカッションのみによる、ゆるやかにうねるデザート・セッションが可憐であり、シンプルなリフレインに厳かに高められる。トゥアレグ族の言語であるタマシェック語?による添付の歌詞カードも解読不能ながらも記号か模様のようで愛着がわいてくる…と思ったらご親切にも直下に英訳詞が掲載されていた。
 

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 MCや歓声等も入ったライブ録音主体の実況的な内容(遠征時のものらしい)もまた、ナチュラルなオープンさが感じられて心地よい。個人的にはこの夏の愛聴盤の1枚となりそうである。 
 
・Les Filles de Illighadad - Irriganan

 

 ところで小学生の時分は、放課後の図書室に入りびたる子どもであった。「ズッコケ三人組」も新刊が出るたびにチェックしていた。おかげ様でその後の読書習慣がついたような。R.I.P. 那須正幹先生
 

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~ /

 おからパウダーと鶏ムネ肉のハンバーグには大根おろしをたっぷり、ブリのお造りにキャベツとちくわのゴマ和え、ブロッコリとキノコの温野菜サラダ、ワカメたっぷりスープなど。冷やしたトマトが美味しい季節の到来である。

 

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 あいにく自宅にTVがないので某開会式を見ていないが、いちいちブーブー文句ばかりつけてたら美容にもよろしくないので、ちょうどよかった。
 開会式からこのアクシデント続きでは、猛暑の中真摯に取り組んでいる選手および末端スタッフにおかれましてはもはや気の毒にもなってくるというものだが、司令塔があの調子では最初から手に余る祭典だったように思えてならない。まだまだこれから色々と波乱が続きそうな予感である。がしかし始まってしまった以上は、ホストもゲストもくれぐれもご安全に、医療従事者のお手をムダにわずらわせないようにお願いします、といったところだろうか。
 
 梅雨が明けてカーッと晴天が続いて気持ち良い限りであるが、ここまで暑いと日中フラフラと外を出歩く気にもなれず、夕方陽が落ちてから外出するなどしている。
 久しぶりに御池辺りで友人と落ち合ってタコスにワカモレブリトーなどのメキシコ料理を肴にビール、テキーラなど頂く…ホットソースのピリリ辛みが沁み入るのだった。
 
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 ご贔屓のレコード屋さんにも寄って例によって何枚か抜かせて頂き、出町座にて『ビーチ・バム』を鑑賞。モヤモヤしたスモークが一気に晴れるようなピーカン映画で、今の自分が観るべき作品といったタイミングで憑き物も落ちる気分であった。
 

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キーウェストが俺の家だ。底辺(ロー)で暮らしてこそハイになれる」 by ムーンドッグ

 

 ムーンドッグのアロハのセットアップと、常に手にしているビールが500ml缶なのがまたブレてなくていいな、と。Snoop Dogg演じるランジェリーも気高い佇まいも存在感がバッチリであった。フロリダの海沿いを舞台とした開放的な風景の描写もこの季節に最高に心地良い。
 かつてあんなに鬱屈した映画ばかり録っていたHarmony Korineが今やこのような突き抜けたエンタテインメント作品を録っているだなんて興味深い経年変化である。…とはいえムーンドッグのゴク潰しぶりもまた堂に入っておるのであるが、故に人生における各々の精神の自由を再確認させてくれるではないか。ちなみにNYのMoondogとは当初ひそかに期待したような関係はあまりないようだった。
 来週の出町座はいよいよKelly Reichardt特集であり、こちらも今から楽しみにしている。
 
 Pita『Seven Tons For Free』(1996年)を久しぶりにかけている。つい昨日Pita=Peter Rehberg氏の訃報を聞いた。享年53歳とのことである。
 

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 自分の手元にあるCDは、2000年に大阪のDigital Narcis Ltd.なるレーベルよりリマスタ―再発された盤であり、自分が初めてPitaを聴いたのもちょうどその頃に入手したこの作品で、大いに衝撃を受けたことを覚えている。
 今聴いてみても、その一切の無駄を排したようなストリクトリー・ミニマルな音響 のハードコアぶりに圧倒されつつも、同時にこの冷房をきかせた部屋でしばしソファに沈みながら無心で耳を傾けるにも適した、ひんやり心地良いタイムレスな極上作なのだった。
 個人的には正直ここ数年の動向は追っていなかったのだが、それでも氏主催のEditions Megoの硬派なリリース群や、Sunn O)))、KhanateのStephen O’MalleyとのデュオKTLなんかの独自の美学に貫かれた活動ぶりがいちいち興味深いものがあっただけに、この早すぎるご逝去は全く残念である。ご冥福をお祈りしたい。
 
・Pita - ~ /


Would?

 カツオのお造りに大葉と生姜にニンニク、ニンニク醤油に漬け込んだ山椒などをオンして薬味たっぷりで頂いた。ちくわとキュウリに塩とすりゴマをして揉んだの、ホウレン草のおひたし、鶏ムネ肉にはフォークで穴を開け塩コショウしてなじませたのをチンして蒸し野菜と。カニカマの塩気もあり、オリーブオイルと塩のみの味付けでシンプルに頂くのも美味しい。エノキの香りがふわっと立ってナイスである。
 

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 週末はオートミールを使用して、チャーハンやタイ風カオパッドにトライしてみた。参考にしたレシピ情報によると、あえて「米化」はしないのがパラパラ仕上げの秘訣らしく…半信半疑ながら食べて「なるほど」な仕上がりで簡単美味しく頂くことができた。
 


 オートミール自体にはあまりクセがなくてかつ少量でも玄米のような食べ応えがあって腹持ちも良いので、これは思った以上に今後も重宝しそうである。何より栄養価が高いのも嬉しいではないですか。
 
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 国民の反対を押し切って強行開催されるオリンピックを前に、いよいよ負の連鎖が続いているな。我が国の至らなさ加減が炙り出されては毎日のように全世界に向けてブロードキャストせざるをえない、という地獄の日々である。ましてこのコロナ禍にお祭り騒ぎに国民の血税を投じて…などと考えるにバカバカしくなるが、事態はまだまだこんなものでは済まないのだろう。
 
 何故よりによって? な事前配慮に欠ける小山田氏の今回の人選ミスについても、まず謝罪すべきは氏をブッキングしたキュレーターではなかろうか? そもそも日頃より芸術文化振興全般に対しての理解やサポートに欠けているにも関わらず、わざわざスポーツの祭典などと雑に繋げるから無理が生じるのも必然であろう。ここでも大本営の仕切りの不味さが目立つ。
 
 ところで渦中の95年刊Quick Japan誌については自分も当時目を通した口であるし、何なら私の実家の押入れ深くにも眠っているかと思う。
 個人的には小山田氏の記事を読んだ際には「何と卑怯で陰湿なお坊ちゃん…」などと悪印象を持ったものの、あくまでも一エンタメ記事として読み飛ばしていたように思う。実際に小山田氏も都会的なセンスを見せつける一方で、ちょっと意地悪な毒っ気も魅力のひとつとして支持されていたように記憶する(今考えるといじめ内容自体は差別、虐待行為であるが)。
 
 かく言う私自身はといえば、もちろんいじめっ子タイプとはほど遠く…むしろ小2の時に近所の友人らと缶蹴りなぞに興じていた際に草陰に落ちていた犬のフンをムリミリリ…とばかりにアホほど踏みつけてしまったことがきっかけで、当時流行ったガチャにちなんで向こう町内で「うんち人形」なる不名誉なアダ名を頂戴しては1年以上に渡って無視され仲間外れにされた、という苦い体験がある、トホホ。
 全く生やさしい内容とはいえ、それでもその際の首謀者の顔も名前も未だに忘れることはないものね。
 

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 以降自分がそういったイジメに加担したくはないな、と思っていたのにも関わらず、喉元を過ぎれば何とやらで、そういった記事をエンタメとして「黙認」するという形で無意識下で加担していた要員になっていたは言えまいか? いずれにせよインターネット前夜には自分も社会もまた今よりずっと未熟であったと思う。
 
 個人的には当時Flippers Guitar含めて氏関連の音楽を嗜む趣向はあまりなかったけど、Corneliusは自分が当時大好きなバンドが多く在籍していたUSのMatadorから海外流通盤をリリースしたり、Polystar内で自身のレーベルTrattoriaを運営したり…とメジャーのみならず、インディ界隈でも華やかな活躍ぶりだった。何より周りでも彼の音楽を愛する友人たちは少なくなかったし、そういった友人にCDを借りて聴いたりもした際には、作品を素直に楽しんだ。
 
 若き日の過ちは過ちとして、せめて国内外の多くのファンをがっかりさせないような誠意を見せるべき局面だったけど、あいにくそのメッセージは、テンプレートに乗っ取られたかのようなツルんと隙のない内容で、25年の時間を経てもなお伝わるところがなかったことはつくづく残念である。長年の膿を出す千載一遇のチャンスでもあったのに。こんな機会でもなければ気鋭のクリエイター・キャリアもいよいよ円熟味を迎えた頃合いであったろうに…これからの活動等を通して誠意ある言動が求められるところなのだろう。
  
 Alice in Chains『Dirt』(1992年)。
 ここで話は一転するが…。時同じくして個人的には当時どちらかと言えばこういった音楽にぐっときていたイナたいサバーバン・ボーイであり、全くもって冴えなかった。…がしかし誰が何と言おうとも、個人的には今でも捨て曲一切なしの完璧な美しさをたたえた作品であると確信している。
 

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 当時を述懐するに…終始スロー&ミッドテンポに支配された暗く重たいロック、本国アメリカではそれがNirvanaSmashing PumpkinsSoundgardenPearl Jamらともどもグランジと呼ばれているそうだが、Nirvanaなんかのパンキッシュさに比べると一聴フックも何もなくむしろドロドロしている…加えてそこはかとないHR/HMっぽさも何だかダサく感じさせる一因であったが、ある時何かが弾けたように一転中毒のように朝に夕に通学時のCDウォークマンのイヤホンを震わせることとなってしまった。
 
 そして満を持して1995年にリリースされた次作『Alice In Chainsもリリース前からラジオでかかる新曲を聴いては期待に胸を高鳴らせていたものだが、果たして発売時に入手した蛍光色のCDは研ぎ澄まされた内容が素晴らしく、こちらも併せて愛聴したものである。1994年にKurt Cobainの訃報が駆け巡った時もショックであったが、Layne Staleyのそれもまたちょっと違った衝撃があった。2002年ともなるとすでにオルタナグランジミュージックとも疎遠になりつつあった時期やけど。
 
 当時KurtもLayneもかなりヘヴィなドラッグ中毒者でもあり、それが元で寿命を縮めたことは疑いがないだろうが、良きにつけ悪しきにつけ蔓延していた当時の独特の空気感というものは確実にあり、それは今も忠実にレコードに閉じ込められているのだろう。Alice In Chainsの音楽が何故アメリカ本国ではあれほど受け入れられていたのやら…当時日本人の一キッズとしては不思議であったが、今となっては当時のグランジブームとマリファナやアルコール、ドラッグの蔓延は切っても切り離せないものだったと考えている。実際ここ日本ではあまり支持されなかったような。
 
Alice In Chains - Would?


Into the flood again
Same old trip it was back then
So I made a big mistake
Try to see it once my way

If・I・would・could・you?

 
 せっかく梅雨が明けたにも関わらず終日ドヨンとした気分であったが、久しぶりにQuicksandHumAlice In Chainsやらの懐かしのメジャー・オルタナを聴くにつけて、何だか少しだけ生気を取り戻した次第である。…とはいえただでさえ暑苦しいこの季節にこのネットリとまとわりつく音楽をわざわざ他人様には特にオススメはしない。

Omission

 ビンチョウマグロのお造り、切り干し大根とタケノコ、ワカメに溶き卵を散らしたの、キャベツの塩もみ、オートミール米に大葉、梅干し、しそわかめを混ぜ入れて。一見あっさり目に見えるが、実はもうひと皿蒸し野菜をペロリと頂いてしまった。
 「オートミール米化」の正解がわからないままに、なかなか使い勝手がよくて何となく取り入れつつある。そもそも当初の期待もなかっただけに、さほどがっかりもないだけかもしれない。
 

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 Quicksand『Quicksand』(1990年)をば。
 4曲入りの7インチシングルで、Youth Of Today、ShelterのRay CappoとJordan CooperによるNYハードコアの立役者的レーベル= コネチカットのRevelation Recordsからのリリース作だ。
 
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 個人的にはその後Polydorからリリースされた1stアルバム『Slip』(1993年)を特に愛聴した口である。上記シングル曲も収録しており、今でもたまに聴きたくなる1枚だ。
 

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 『Slip』は今となってはメジャー・オルタナという位置付けになるのだろうが、元Gorilla Biscuits(←最高)のWalter Schreifelsによるニューバンドは、硬質で金属的なギターリフと終始スロー〜ミッドテンポのミニマルなベースラインは当時自分には新鮮に映り、Walterの硬派でエモーショナルなボーカルに胸を熱く焦がしたものであった。2nd『Manic Compression』やその後のRival Schoolsなんかのキャリアもナイスではあるが、個人的には、このアートワークの薄気味悪さに象徴されるような、異端でちょっと神経症的な初期作に特に思い入れがある。
 
 JudgeやBold、Gorilla Biscuitsなんかの正統なハードコアバンドをリリースする一方で、90年代も半ばになるとTexas Is The ReasonやSense Field、Beta Minus Mechanicなんかのようなポストハードコアなスタイルのバンドも抱えるようになったりして、当時プチプラであったレーベルコンピなんかを聴いてはワクワクしたものであった。巷の輸入盤屋さんなどで「エモ」なるワードが飛び交うようになる前夜のことであった。
 
・Quicksand - Omission

 

And when the truth rears
Its ugly head, it's all too late
Too late for the omission
That you kept inside and wished it wasn't you

 
・Quicksand - Dine Alone


 90年代当時はこれらのビデオを見る機会がなかったが、それにしてもメジャーレーベルのMVってば、どのバンドも見事にこのハイライトで飛ばし気味の照明や思わせぶりなカットインとかばかりやな、と改めて。当時の流行やMTV市場を見込んだディレクションなのであろうが、型にはめて大量生産されるような商品みたいで、想像力の欠如ぶりがちょっと残念である…なんちゃって。今となってはこの質感に何とも言えない懐かしさや新鮮さを感じては、それなりに楽しめてしまうエエお客さんな私であるが。あとTom CaponeのTシャツがVUの2ndなのにもほっこりしたり。

 

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 以前に実家から引き上げたCDを久々に開けてみたところ、何故か中からは同時期に聴いていたのであろうPanteraの国内盤ライナーが…(しみじみ)。

 

In France They Kiss On Main Street

 カツオお造りにてネギと生姜と。キャベツの塩もみ、ナスと椎茸の麻辣和え、豚肉とブロッコリの蒸したの…そして件の「オートミール米化」にトライしてみた。鯖缶と梅干し、水菜などと和えて恐る恐る炊き込み風にしてみたところ、これが思ったより全然悪くない…どころかナイスであった。
 

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 「米化」というくらいで確かに玄米辺りに近い食感である。「米化」作業にしても、オートミールに水を加えてレンジでわずか1分チンと実にお手軽なものであった。オートミール業務スーパーでお安く入手できたし、何と言っても栄養価が高く、食物繊維やミネラル、マグネシウムや鉄分などを豊富に含んでいる食品とのことである。糖質やカロリーも米に比べるとぐっと低めでかつ低GI値食品につき、正にダイエットなどにも適していそうである。何だか飽きがくるのも早そうではあるが、献立の幅も広がりそうであるし、たまには取り入れてみようかと考えている。
 
 Joni Mitchell『Hissing Of Summer Lawns』(1975年) 。
 邦題はその名も『夏草の誘い』で、個人的にもちょうどこの梅雨〜新緑の時期にかけて無性に聴きたくなる1枚である。
 収録曲「The Jungle Line」をイメージして描かれたというJoni自身の画による、都会の街並とアナコンダを運ぶ人々があしらわれたユニークなアートワークも気に入っている。ちなみにミントグリーンに塗られているお宅がJoni邸を指すとのことである。
 

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 Crosby & NashやJames Taylorなどの盟友のにぎやかしによるコーラスやThe Crusadersの面々によるスムースなサポートなんかもひたすら心地良い。何と言ってもJ. Mitchellの喋りかけられるように歌われる、落ち着いたテンションも適温でエレガントであるし、全体にエレピやシンセなど電子音の意匠もつるりと涼やかで汗が引く。ああ今年も夏近し…。
 謙虚ながらもいずれも味わい深い佳曲の数々がさることながら、終始トライバルなリズムが脈打つ「The Jungle Line」(後にBjorkがカバーしたこともうなずける)、自身によるARPやFarfisaのみを伴奏に歌われる「Shadows And Light」なんかはアルバムの中でもピリッと良い塩梅のスパイスとして利いていると思う。
 個人的にはこの作品が初めて聴くことになったJ. Mitchellの作品であったせいか特に思い入れがある作品だ。
 
Joni Mitchell - In France They Kiss On Main Street

 
Drinking up the band's beers 
Young love was kissing under bridges 
Kissing in cars kissing in cafes 
And we were walking down 
Main Street Kisses like bright flags hung on holidays 
In France they kiss on Main Street
 
 とはいえもちろん初期作に見られるようなJoniのギターと歌によるシンプルな構成も好むのであるが。Peter Barakan氏のラジオ番組でちょっと前にかかっていた音源を耳にするにつけて、昨年にVol.1、今年Vol.2とリリースされた未公開ホームデモ、ライヴ音源なんかのアーカイヴ集ボックスCDの存在も密かに気になっているところである。